「母が亡くなる2週間前から葬儀の予約を入れた」新田恵利 死装束にウエディングドレスを縫いながら迎えた最期
── お兄さまの「受け入れたくない」という気持ちもわかります。どうやって説得を? 新田さん:いきなり現実を突きつけるのもちょっと酷だなと思ったので、「お兄ちゃん、これからママが3年も、5年も生きると思う?」と聞いたんです。兄も「それは、無理だと思う」と言うので、「じゃあ、今予約しておいても同じことでしょ」と。それでも納得せず「逆に聞くけど、いま予約したら何かあるの?」と突っ込まれたので、苦肉の策で「あるよ!今なら早割が使える」と答えました(笑)。兄も心の奥では、もう長くはないとわかっているから「わかった。じゃあ、いいよ」と。
── 意外と合理的な解決法が(笑)。 新田さん:結果的にすごくよかったと思っています。母のそばに最後までいられて、感謝とお別れをいっぱい伝えることができました。 PROFILE 新田恵利さん にった・えり。1968年生まれ。埼玉県出身。1985年、「おニャン子クラブ」の会員番号4番としてデビューし、人気者に。1986年、「冬のオペラグラス」でソロデビュー。著書に、『悔いなし介護』(主婦の友社)など。2023年、淑徳大学総合福祉学部の客員教授に就任。介護についての講演活動も精力的に行っている。
取材・文/西尾英子 画像提供/新田恵利
西尾英子