市川團子「昨年亡くなった祖父・猿翁の言葉は僕の宝物、「天翔ける心」を胸に全力で。父・中車と同じ舞台でも、日常の関係は持ち込まない」
1年生の時は、幅広く西洋美術、日本美術、西洋音楽、オペラ、日本音楽などについて学び、2年生になってからは古今東西の映画や舞台芸術について学びました。 以前は映像にそれほど興味がなかったのですが、勉強するなかで、映像表現の奥深さにも気づかされました。 たとえば映画の場合、カメラがなぜ動くのかということや、象徴的なテーマがいかに表現されているのかなど、本当に面白かったです。作り手の意図や意識をきちんと読み解けるようになりたいと、強く思いました。 また、試験とお稽古や公演が重ならないように、なるべくいつでも取り組めるレポート中心の科目をとるようにしているんです。 昨年9月には、祖父との別れがありました。お別れの会では、「少しでも祖父に近づけるよう頑張りたい」という思いを持ちました。祖父は向こうでもきっと、エネルギッシュに舞台に立っている気がします。 これからは、祖父が残してくれた言葉を、より大事にしていきたいです。「夢見る力」や、『ヤマトタケル』のテーマとも言える「天翔ける心」と祖父に書いてもらった色紙は、僕にとって宝物です。尊敬する祖父を目指して、これからも全力で頑張っていきたいです。 (構成=篠藤ゆり、撮影=岡本隆史)
市川團子
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