「今では立場が逆転」…医学と将棋のプロフェッショナルの、老いて「諦める」ものと「それでも頑張り続ける」もの
人生100年時代。平均寿命が上がり続けている現代の日本では、そう遠くない未来に100歳まで生きることも当たり前になっているだろう。そんな時代にいつまで現役を続けられるのか?どんな老後の過ごし方が幸せなのか?医療はどこまで発展しているのか? 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 ノーベル賞学者と永世名人。1962年生まれの同い年の二人が、60代からの生き方や「死」について縦横に語り合った『還暦から始まる』(山中伸弥・谷川浩司著)より抜粋して、還暦以降の人生の楽しさや儚さについてお届けする。 『還暦から始まる』連載第13回 『負けるとしても「若者と本気でぶつかれ」...ノーベル賞学者と永世名人が説く、若者から刺激を受ける「幸せ」と「意義」』より続く
清流無間断
谷川マラソンを続けないとなると……。 山中僕には研究がありますから。 谷川やっぱりそこに行き着きますよね。山中さんは研究者を何歳ぐらいまでしたい、あるいは死ぬまでやりたいというようなことを思っていらっしゃいますか。 山中役に立つ間は続けたいですね。走るほうだけではなく、同じように脳のほうも60というのは研究者としての限界が来ているかもしれません。所長時代の12年間は、やはり研究にほとんど力を使うことができなかったんですね。気がついたら60前になって、本当の意味で自ら研究できる時間が限られているなと強く思いました。所長は高橋淳先生に引き継いでいただいて、もう一度なんとか研究に戻ろうとしています。でも谷川さんに書いていただいた「清流無間断」の通りですね(編集部注=対談当日、谷川氏はこの言葉を揮毫した色紙を山中氏に贈った)。 谷川清い流れが絶え間なく流れるように、常に活動をしていると淀みがなく清らかである、というような意味ですね。 山中はい。それと一緒で、ずーっとやっていて流れている間は簡単にできたことが、いったんとどまると頭が淀んでしまって、なかなか元に戻れません。まだまだ不十分だなと思っています。
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