無人駅はクラフトビール醸造直売所…JR山陰線「波子駅」
交流の場、うれしい
石見麦酒の進出を機に、駅周辺は、肉用羊の放牧場や、野菜農園など他の事業者が相次いで出店。ビール醸造で生じた麦芽のかすを羊に食べさせるなど、店のつながりもあり、駅に再び、人が集まりつつある。「跡市ひつじ牧場」の石井裕介牧場長（43）は「事業者個々の取り組みに関心をもってもらえなくても、事業者同士が連携することでアイデアの幅も広がり、お客さんに楽しんでもらいやすくなる」と話す。 地元住民の間にも期待感が高まっている。松浦多嘉子さん（68）は、有人駅時代に切符の販売などを担当していたこともあり、「駅舎が再び無人となり、地域が寂れていくようで不安だったけど、駅舎が再び色んな人と交流できる場所になりつつあることが、とてもうれしい」と笑顔で語った。
「ゆべし」でお酒に彩り
波子駅近くのカフェ「ナミノコ雑貨店」では、地場産のユズを使ったゆべし「ゆずpupu」が人気だ。 ゆべしは、中身をくりぬいたユズに果肉やみそ、クルミを詰め、蒸した上で自然乾燥させた和菓子。チーズとの相性も抜群で、おつまみとしても好評という。 代表の河村正樹さん（52）は広島県出身。「海の近くで住みたい」と、波子地区に2017年に移住した。ゆべしは元々自家用に楽しんでいたもので、移住後の22年からECサイトなどでも販売している。 河村さんは「駅舎に遊びに来た際は、ぜひ、ゆずpupuをおつまみにビールを味わって」とPRする。 1袋6枚入りで、税込み640円。問い合わせは、同店（070・9034・8127）。 文と写真・桃田純平
