海外レースで「爪痕」 トレイルランの中谷選手 イタリアで日本人初5位/兵庫・丹波市
山野を駆け抜けるトレイルランニングのプロランナー、中谷亮太さん(33)=兵庫県丹波市=が、このほど海外の2レースを転戦し、それぞれ上位に食い込む活躍を見せた。南米ペルーのアンデス山脈を走る「アンデスレース」の100キロ部門で6位、イタリアのレース「トットドレット」の130キロで日本人初の5位入賞を果たした。「ターニングポイントになる経験ができた」と充実感をにじませた。 8月末のアンデスレースの同部門には、50人ほどが出場。標高4700メートルに達する過酷なコースを、21時間52分38秒で駆け抜けた。
レース前、1週間以上にわたって励んだ高地トレーニングが生きたものの、空気の薄さや気圧の低さは想像以上で、普段とは走る感覚が違ったという。ゴール後、優勝者と話すと、中谷さんが実行委員長を務める大会「丹波100アドベンチャートレイル」を知っており、来年の大会出場に興味を示したという。 ほどなくイタリアに移動し、9月初旬に「トットドレット」に出場。400人ほどが走ったが、完走率は50%以下。アップダウンがかなりきついコースで、24時間52分33秒でゴールした。 序盤はトップでレースを引っ張ったが、世界で活躍する選手は登りが速く、とりわけ手に持つポールの扱い方に目を見張ったという。アンデスレースの疲れもあり、そこから大きく順位を落としたが、後半に猛追し、120キロ地点で5位に浮上。一気にゴールまで駆け抜けた。 「気持ちだけは切らさなかった。何とか爪痕を残そうと、1つでも上の順位を目指した」と振り返り、斜度がきつい丹波の山を走り続けている経験が生きたという。トットドレットを完走したことで、来年の世界最高峰のレース「トルデジアン」(200マイル)の出場権を獲得した。 年内に複数のレースを予定。「世界一の選手を目指す」と話し、「海外レースを経験し、日本の文化や人間性、歴史は素晴らしいと改めて感じた。丹波にも誇りを持ちたい」と熱く語った。