オリオン座のベテルギウスに再び異変、「超新星爆発」間近か
北半球の冬の夜空に見える代表的な星座の1つ、オリオン座の「肩」の位置で輝く1等星ベテルギウスは、太陽系の最も近くにある赤色超巨星だ。 【画像ギャラリー】オリオン座の「肩」の位置で輝くベテルギウス 全天で10番目に明るい恒星と考えられているが、天文情報サイトのEarthSkyやSky&Telescopeが伝えている最新の研究結果によると、ベテルギウスの明るさが1月下旬から0.5等低下しているという。超新星爆発が間近に迫っているのだろうか。 ■胸躍る展望 今すぐ爆発する可能性は低いが、今後10万年以内には間違いなくベテルギウスが超新星爆発を起こすことがわかっている。恒星の一生では、それは本当に間近に迫っているが、天文学者らは今後の展望に胸を躍らせている。なぜなら天の川銀河(銀河系)内では17世紀以降、超新星爆発は観測されていないからだ。 2023年に発表された論文の予測では、ベテルギウスのコア(核)は300年足らずで燃料の炭素を使い果たし「超新星爆発につながるコアの崩壊が、数十年以内に起こると予想される」という。 明るさのわずかな変化でも大きな興味を引くのは、こういうわけだ。 ■大減光 ベテルギウスは質量が太陽の20倍、大きさが太陽の1400倍で、太陽系から650光年の距離にある。つまり現在ベテルギウスで起きていることは、実際は650年前に起きたことで、地球では今まさにその光、あるいは減光が見えているにすぎない。それでも、ベテルギウスは「超新星の危険地帯」とされる50光年よりもずっと先にあるので、心配する必要はない。 2019年末から2020年初めにかけて、ベテルギウスの突然の「大減光」がメディアをにぎわせた。この間、明るさが通常の40%まで低下した後、徐々に元に戻った。形状も変化した。 約400日周期と6年周期で明るさが変動する変光星であることはすでに知られていたが「大減光」ほどの劇的な変動は観測史上初めてだった。 ■質量放出 ベテルギウスの「大減光」に関しては、次のような複数の説が提唱された。 ・対流によって南半球に形成されたコールドスポット(低温の領域)による見かけの減光 ・脈動や他の恒星との相互作用によって引き起こされる通常の明るさの変化 ・赤色超巨星から大量に放出される塵(固体微粒子) しかしながら、ベテルギウスの内部から「げっぷ」のように噴出した物質(質量放出)で形成された塵の雲が、地球から見えるベテルギウスの光の一部を遮っていたことが、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の画像から確認された。 ■ため息が出るほど見事な光景 いつかベテルギウスは、II-P型超新星として爆発して非常に明るくなり、中性子星を後に残す。爆発から数カ月間は満月ほどの明るさで輝いた後、実質的に肉眼では見えなくなる。日中でも観測できるかもしれないが、夜間はため息が出るほど見事な光景になるだろう。だがそのためには、ベテルギウスが12月~4月の間に「超新星になる」必要がある。 ベテルギウスがもうすぐ爆発しそうなら、すぐにそうなることを期待しよう。日没後の水平線の向こうに沈み、太陽が照りつける中に昇るようになる前に。
Jamie Carter