竹久夢二、16歳の恋人を描いた幻の油彩画がお披露目中
さらに、夢二の油彩画を見よう。夢二が唯一、外国人女性を描いた絵だ。夢二は晩年、ハワイ、アメリカ西海岸からヨーロッパに外遊しているがその旅の中、アメリカ西海岸で描いたものだ。 夢二好みの細身の女性が胸も露わに横たわっている。夢二はジョルジョーネやティツィアーノの描いた裸婦の図版を見たことがあったのだろうか。体と同じ方向に流れる背景のストライプが女性を一層際立たせている。ここでもまたグラフィックの本領を存分に発揮していると言える。 この絵はロサンゼルスにスタジオを持っていた写真家、宮武東洋に夢二から託されていた。10年ほど前、夢二生誕130年を迎える時に所在がわかり、これもやはり、夢二郷土美術館の所蔵となっている。 その外遊中に体調を崩した夢二は帰国後、台湾(当時は日本の統治下)に療養を兼ねて向かうが病状はむしろ悪化し、翌年の1934年に満49歳の短い生涯を終えている。夢二が遺した油彩画はおよそ30点、風景画や静物画もある。 これらの油彩画を見たあとは、竹久夢二という画家の存在感が増すだろう。しかも今回、夢二が活躍した頃と同時代の建物である旧朝香宮邸を前身とする東京都庭園美術館で見られることで、この体験を特別なものにしてくれるのである。 生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界 会期:~2024年8月25日(日) 時間:10:00~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 会場:東京都庭園美術館(本館+新館) 休館日:月曜 ※ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・祝)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館