新理事長が再出発へ決意 暴行事件で揺れた東京・八王子の「旧滝山病院」、内部も公開
今月1日に病院名を「滝山病院」から改称した東京都八王子市の精神科病院「希望の丘八王子病院」が28日、報道陣向けに説明会を開催した。同病院ではこれまでに複数の職員が入院患者に暴行を加えたとして5人が逮捕、書類送検されている。今年8月には管理責任を問われた旧経営陣が辞任、翌9月から新体制に移行した。一部から存続に厳しい声もあるなか、新理事長に就任した医師の工藤龍彦氏(81)は再出発にかける決意を語った。 【写真】旧滝山病院。エントランス横の看板は「希望の丘八王子病院」につけかえられている 職員による虐待事件は令和5年2月に発覚。現在は弁護士らで構成される虐待防止委員会の設置や、外部講師を招いた院内研修の定期的な開催などを通して、再発防止に取り組んでいる。病院側はこの日、これから患者の受け入れを想定し、新体制移行後に改修工事が実施された病棟を公開。築約50年の建物はつくりに古さはあるものの、病室や廊下は新しくペンキで塗りなおされ、明るさが感じられた。 一方、今月25日には市民団体が同病院に対して生活保護法による指定医療機関の指定を取り消すよう八王子市議会に請願を提出するなど、厳しい目も向けられている。病院側の説明でも事件発覚時に145人いた入院患者は、今年10月末には50人にまで減少したという。工藤氏は「先行きは大変。立て直しに数年はかかると思う」と率直に認めつつ、今後は常勤の医師や看護師の数を増やした上で「地域に開かれた、よい病院にしていきたい」などと展望を述べた。