23年、神戸退団セレモニーでファンの声援に応えるイニエスタ

　元スペイン代表の名手でバルセロナや神戸でも活躍したMFアンドレス・イニエスタ（40）が8日、現役引退を表明した。バルセロナで会見に臨み「この日が来ることは想像できなかった。皆さんに感謝したい」と語った。 　バルセロナの育成組織から昇格し、1メートル71の小兵ながら卓越した技術とセンスを武器にメッシらと黄金時代を支えた。スペイン代表でもバルセロナの同僚シャビらと活躍。10年W杯南アフリカ大会ではオランダとの決勝で初優勝を勝ち取る延長戦の決勝点を決めた。 　22年に及んだ現役生活に思いを巡らせた会見の冒頭では言葉に詰まり「これは感動と誇りの涙で悲しみではない」と発言。「選手になるという夢をかなえた子供の涙。多くの犠牲と努力とともに成し遂げ、決して諦めなかった。道のりを誇りに思う」と力を込めた。 　18年には神戸に加入し、20年元日決勝の天皇杯でクラブに初タイトルをもたらした。当時を振り返り「地球の反対側に行くのは今までで一番難しい決断だったが、素晴らしい経験で2つのタイトルでクラブを成長させられた。神戸と日本は自分たち家族を信じられないくらい良く迎え入れてくれた」と語った。 　既に指導者ライセンス取得のため講習を受講。「また素晴らしい仕事ができれば。ボールの後ろではなく別の場所で」と指導者としての未来を見据えた。 　◇アンドレス・イニエスタ　1984年5月11日生まれ、スペイン・フエンテアルビージャ出身の40歳。02年にトップデビューしたバルセロナで欧州CL4回など32のタイトルを獲得。18年夏から推定年俸32億円で神戸入りし、23年夏の退団後はエミレーツ・クラブ（UAE）で1年プレーして7月1日に退団。スペイン代表では131試合14得点。08、12年欧州選手権、10年W杯の主要国際大会3連覇を支えた。1メートル71、68キロ。利き足は右。 《神戸感謝　元同僚・高徳は惜別》　イニエスタが18年から5年間在籍した神戸の千布勇気社長は「神戸、日本を愛してくれたことを誇りに思いますし、決して忘れることはありません」と感謝した。ともにプレーした元日本代表DF酒井高徳は「非常に寂しい」と惜しみ、「あれだけのトップの人がチームに寄り添ってくれた。リーダーシップや人間性を発揮してくれたおかげで、今のヴィッセルがある」と実感を込めた。