上田誠仁コラム雲外蒼天/第45回「インカレの舞台に立つ難しさ~走ることを楽しみ、意義を見出して~」
山梨学大の上田誠仁顧問による特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! ********************** 5月のコラムは関東インカレの話題で書かせていただいてきた。毎年のように激闘の末のドラマがあり、悲喜こもごもの熱い青春のたぎりを感じさせてくれる大会だからだ。 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第44回「習ったなら実践を繰り返し慣れろ」 今年の第103回関東学生陸上競技対校選手権は、新型コロナウイルスの5類への移行を受けて、各大学恒例の集団応援が響き渡る国立競技場にて開催された。 2年前の応援自粛の中で、静かに開催せざるを得なかったことを思えば、国立競技場でこの大声援に包まれて大会を開催できることにありがたき幸せを感じる。 山梨学院大学は、800mで3名が決勝に進出。10000m競歩、1500m、3000m障害、走幅跳、三段跳でも得点を重ね、留学生が出場した10000mとハーフマラソン以外の得点でも1部残留得点を超え29年連続で1部残留を果たした。 1部16校の総合得点の15位と16位が2部に降格となる。15位の大東大が21点、14位で残留となった明大が24点。わずか3点の差が明暗を分けた。 インカレは対校戦であるがに故に、総合得点が最終評価となる。その雰囲気の中で、それぞれの種目の覇者となることの意義と難しさ、得点を加算できる8位以内に入賞することの重要性を自覚する部員たちの競技会である。 選手も指導者も、それなりに高い緊張感と大きなプレッシャーを抱えての4日間であったことだろう。 インカレ中も箱根駅伝を目指す各チームは、集団応援の合間を縫ってジョギングやペース走などの練習時間を確保して神宮外苑などで走りこんでいる。過去開催してきた相模原ギオンスタジアムであれば併設のクロスカントリーコース。神奈川・日産スタジアムであれば外周コースなどがある。 スタンドで応援する学生たちや、合間を縫うように練習に励む各大学部員たちの後姿を見るにつけ、4年間という限られた時間の中で代表選手としてこのような大声援を背に走ることができるチャンスは限られていることを常々思ってしまう。 そのようにひとりごちていると、ある選手のことが脳裏をよぎった。 山梨学院高校卒業生の山口純平君(ELDORESO)、27歳。 2013年、山梨学院高校が第64回全国高校駅伝で優勝した時の登録選手であったが出走の機会はなく、翌年の65回大会はキャプテンとして4区を走り区間34位。卒業後は国士舘大学へ進学するも4年間は対校戦など公式戦への出場はなかった。