Living in Sapporo《フランス人》ニコラさん前編 『菊と刀』日本に興味
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。その札幌には多くの外国人(2011年の札幌市の調査によると「札幌の外国人登録者数」は9500人強)が住んでいる。そこで札幌に住んでいる外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」をスタート。第8回目前編では、フランス外務省がバックアップしている「札幌アリアンス・フランセーズ」院長のフランス人、ニコラ・ジェゴンデさんに日本に来たきっかけを聞いた。(インタビュー・構成/橋場了吾)
日本の温泉は好き でもフランスの温泉には入らない
私は1972年にフランスのエクス・レ・バンというアルプス山脈の近くの町で生まれました。世界的には温泉で有名な町ですね。しかし、フランスでは余暇目的で温泉に入る人はいません。一般的にはリウマチの治療などの医療目的で入る人が多く、医師の勧めがない人はほとんど入りません。私は日本の温泉は大好きですが、エクス・レ・バンの温泉は入ったことがありませんよ。 年に1回、フランスに帰国する時には必ず新千歳空港の近くに1泊するようにしています。それは、空港にある温泉に入るため。パリまでは10時間近いフライトになりますから、温泉に入ってリラックスしないと、なかなかその気になれないんです。 私はモン・サン・ミッシェルに程近いレンヌ大学大学院で、社会学や歴史学を学んでいました。その中で読んだのが『菊と刀』(アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトによる日本固有の文化を研究した書物)です。 フランスは「個人主義」なのに対して、日本は「助け合い」を重んじる…、これまで自分が知らなかった文化の国が、どのようにして成立しているのかすごく興味を持ちました。当時(1990年代前半)の日本は、アメリカ・ヨーロッパ以外で高成長を遂げた国でしたので、「フランスにとっても良い方法が日本にあるのではないか」と考えるようになりました。 また、親友が空手をやっていたこともあり、日本の文化に精通していたんです。その時点で私は日本語がまったくできなかったので、今思えば彼が日本に来て僕がフランスに残っていた方が良かったのではとも思うのですが(笑)、日本はどんどん特別な存在になっていきました。彼は、僕が日本にいるのをいいことに毎年来日しています。