大日本参戦の“プロレス留学生”マリー・ハナ「知識を吸収し、失敗を恐れない挑戦を続けるのが、台湾のプロレス精神だと思っています」
「大日本プロレスに初めて参加したとき、観客の一体感や選手同士の熱量に圧倒されました」
マリー・ハナ(25歳)、台湾のプロレス団体「パズルプロレス」に所属し、2020年にプロレスデビューを果たした新進気鋭のレスラーである。2024年、来日し、大日本プロレスでの修行を開始した。今回はその心境と日本でのプロレス活動についてインタビューを行った。 【動画】2024.10.12苫小牧 青木優也 vs マリー・ハナ(ストロングBJ柔術対決/台湾出身レスラー マリー・ハナ) ①自己紹介 ――まずは自己紹介をお願いします。 「台湾のPuzzle Pro Wrestlingから来たマリー・ハナです。よろしくお願いします。」 ――25歳という若さですね。日本に来た感想はいかがですか? 「日本は本当に大きくて驚きました。特に、試合会場へ向かうたびに、その距離感や規模の違いに圧倒されます。移動中の景色も多様で、とても新鮮な体験です。」 ②大日本プロレスに参戦して感じた事 ――現在、大日本プロレスで修行中のマリー・ハナ選手。2020年にデビューし、台湾のPuzzle Pro Wrestlingで活躍していましたが、日本のリングに挑む中でどのような思いを抱いているのでしょうか。まずは日本での活動についてお聞きします。 「日本に来たのは本当に幸運でした。今年4月、新木場大会で急遽橋本和樹選手の代打として出場したのがきっかけです。あのときは正直、自分が大日本プロレスのリングに上がるなんて想像もしていませんでした。でも、それが本当に楽しくて、もっと学びたいと思うようになったんです。」 ――7月には青木優也選手が台湾遠征を行い、その際にマリー選手から日本で修行したいという強い希望があったそうですね。 「はい。青木選手と話して、自分のゴールがどこにあるのかをもっと探したくなりました。日本のプロレスには、台湾では得られない刺激や文化があって、それを肌で感じてみたかったんです。運良く7月から留学生として来日が決まり、すぐにたくさんの試合に出場させてもらえるようになりました。」 ――デスマッチへの挑戦はいかがですか? 「デスマッチは本当に大きな挑戦です。私はデスマッチ選手ではありませんが、星野さんや宮本さんのような経験豊富なデスマッチ選手との対戦を通じて、多くのことを学んでいます。リング上では試行錯誤を重ねながら改良を続けています。怖い部分もありますが観客の反応も非常に温かいので励みになりますね。」 ――特に大日本プロレスでの試合で楽しんでいるポイントは何でしょう? 「まず、試合のバリエーションが多いことです。激しいハードファイトもあれば、楽しいプロレスもある。その両面が共存しているところが大日本プロレスの魅力だと思います。また、試合後に観客が拍手をくれるのを見ると、『やって良かった』と感じる瞬間が多いです。」 ――他の選手とのスピリットの違いについても語っていましたね。 「そうですね。例えば、関本さんのブラックパンツや青木さんのブルーパンツ。それぞれのスタイルやスピリットが異なります。でも、全員に共通しているのは『プロレスへの真剣な思い』です。その中で、自分も自分らしいスピリットを模索しています。」 ――横浜の街が気に入ったんですね。 「はい、大日本プロレスの特徴の一つは、商店街プロレスをよく開催しています。駅の近くから、まるで住宅街のような場所まで、様々なロケーションで行われます。そのたびに景色が全く異なり、時々熊川さんに『これって本当にまだ横浜ですか?』と聞いてしまうほどです。」 ――大日本プロレスで修行をしているとのことですが、練習はどうですか? 「大日本プロレスの練習はとても厳しいです。台湾では選手それぞれが本業を持っているため、毎日ほかの選手と会って、一緒にスクワットや腕立て伏せをするなんて想像できません。でも、日本では体力トレーニングの要求が非常に高くて、毎回、みんなが真剣に練習しているのを見て、自分も頑張らないとと感じます。」 ――試合も始まっていますね。大日本プロレスのマットに立ってみて、どんな印象を受けましたか? 「大日本プロレスの試合は、すごくスピード感があって、観客の反応もすごく温かいです。台湾ではあまり観客の反応が大きくないので、こうして応援してくれるお客さんの存在にとても感動しています。」 ――大日本プロレスの特徴として、ジュニアヘビー級のスピーディーな戦いと、デスマッチファイターの肉体戦がありますが、マリー選手の武器は何ですか? 「台灣のプロレス環境は、日本と比べると、資源や注目度がまだ少ないです。でも、強くなるために、色々な格闘技術を勉強し、技の幅広さを武器にしています。私はなんだか変な存在、いわばキメラのようだと言われるかもしれませんが、知識を吸収し、失敗を恐れない挑戦を続けるのが、台湾のプロレス精神だと思っています。」 ③日本のプロレスと台湾のプロレスの違いとは ――日本のプロレスのスタイルについてどう思いますか? 「日本のプロレスは非常に技術的で、レスラーが観客にどう見せるかを考えている点が特徴的です。また、多くの異なる会場で大会が行われるため、選手はそこで多くの経験を積むことができます。一方、台湾のプロレスはまだ発展途上で、環境が限られる中でも、選手たちは現状の条件を最大限に活かして挑戦を続けています。このような挑戦する精神や、魂を通じて感情を伝える方法は、日本と台湾で共通していると感じます。」 ――台湾のプロレスシーンについて教えていただけますか? 「台湾には今、プロレスのプロモーションが2つあります。けれど、お客さんの規模はまだ小さくて、プロレスそのものを深く理解している人は少ないんです。例えば、日本の観客は試合中に拍手や『頑張れ!』という声援を送ってくれますよね。それに、紙テープも投げたりする。でも台湾では、観客がプロレスの雰囲気を楽しむことはあっても、細かいルールやプロレスの深い部分を理解しているとは言えない状況です。」 ――台湾のプロレスと日本のプロレスの違いをどう感じますか? 「台湾ではまだプロレスが発展途上で、観客も試合のルールや技の意図を完全には理解していない部分があります。それに対して、日本では観客がプロレスそのものを深く理解していて、技のひとつひとつに大きな反応を示してくれる。例えば、紙テープを投げて応援する文化や、選手の動きに合わせた拍手や声援など、試合を通じて選手と一緒に物語を作り上げているような感覚がします。この違いはとても刺激的ですね。」 ――プロレスに興味を持ったきっかけを教えてください。 「私のおばあちゃんが大のプロレスファンだったんです。幼い頃、一緒にプロレスを見ていましたが、当時は試合の意味や技の意図がよく分からなくて怖いと思うこともありました。特に張り手や投げ技の痛そうな場面を見て、『どうしてこんなことをするの?』と疑問に思ったりして。でも成長するにつれ、プロレスの技術や精神を理解できるようになりました。それからは試合を観るのが楽しくなりました。」 ――大日本プロレスでの経験について聞かせてください。 「大日本プロレスに初めて参加したとき、観客の一体感や選手同士の熱量に圧倒されました。体も心も準備が必要で、毎回試されている気持ちになります。でも、試合後に観客から拍手をもらうと、それだけで『やって良かった』と感じますね。大日本プロレスではハードファイトだけでなく、エンターテインメント性のある試合も多いので、どちらも楽しめる環境が魅力です。」