MLB側が難色 田中将大の移籍は白紙か
会議の期間中、互いに情報を共有し合いながら、ポスティング制度の行方を一緒に探ってきたある米記者にそのことを伝えると、彼からもこんな話を聞いた。 ■MLB側「再検討する余地はない」 「極端なことを言えば、彼らは廃止やむなしで動いている。日本の選手会が、複数のチームと交渉できるよう要望した、という話があったよな。それを複数のオーナーに聞いたら、声を揃えたよ。『再検討の余地などない』とね」 完全な“上から目線”だが、それが実情。おそらく日本野球機構の交渉担当者はそれを分かっている。しかし、そういう空気を日本の選手会はどれだけ読めているだろうか。「今回の制度は2年間限定」とし、その間に再度交渉するとのことだが、その2年後、さらに不利な条件を突きつけられる可能性については、想定しているのだろうか。そのとき、もしも日本側が抵抗すれば、「では、撤廃しましょう」とあっさり、梯子を外されかねない。それが、米国側で取材して感じた空気だった。 ■FA権を取得するための期間短縮を希望 「いや、なくなることはないだろう」。もちろん、そう考える関係者もいる。今回、田中がポスティングされれば、入札を予定している、あるチームのスカウトは、こういう見方を示した。 「日本だとフリーエージェントになれるのは9年後だろう?我々は9年も待てない。日本の投手は多くの球数を投げるので、その頃にはもう、その投手の魅力は半減してしまっているから」 これは投手を前提とした話だが、メジャー側は、日本の好投手を20代の半ばで獲得できる点で、ポスティング制度を必要としている、ということだった。 「考えてもみてくれ。今回、(12月に31歳になる)アービン・サンタナや(今月の終わりに30歳になる)マット・ガーザが、総額で100億円の契約を要求しているが、やはりリスクが大きい。同じ100億円を投資するなら、若い田中の方が、リスクが少ないと映る」 現場的な意見だが、これがオーナーレベルになると、「そうだなあ、実績のある若い日本の選手を獲得出来るのは、やはり魅力だなあ」と同意はするものの、だからといってポスティング制度の交渉で、「じゃあ、少し譲歩しよう」とはならず、確実にこう考える。 「日本の選手のフリーエージェントになる期間を短縮させればいいじゃないか」