【NBA】将来へ向けた布石を打つネッツの2024-25シーズン、注目すべきは選手個々の『成長』と『生き残り』のドラマ
上位指名権を得ることが最優先事項という戦いに
この夏、ネッツはチームの中心選手であったミケル・ブリッジスをトレードで放出することを決断しました。ケビン・デュラントやカイリー・アービングの放出に合わせて手に入れた得た大量のドラフト指名権を使って再建を図りますが、特に来年のドラフトはスーパースター候補が揃った豊作の年と予想されているため、新シーズンは上位指名権を得ることが最優先事項という戦いになりそうです。 ネッツがやるべきことは大きく2つあります。1つはキャメロン・ジョンソンやドリアン・フィニー・スミス、ボグダン・ボグダノビッチといったウイング陣を中心に戦って選手個々の評価を高め、より良い対価を得られるトレードに繋げること。長いシーズンにケガやアクシデントは付き物で、シーズンが進むにつれて様々な需要が出てきます。大きな変革を求めるチームにはジョンソンを、ディフェンスに困っているチームにはフィニー・スミスを、そして即戦力のオフェンスオプションが欲しいチームにはボグダノビッチと、タイプの異なるウイングが揃っているネッツは様々なトレードのニーズに対応でき、将来に向けた資産を増やすことができます。 もう一つはキャム・トーマスやニコラス・クラクストンを中心に若手を育成していくことです。2023年のドラフト1巡目で指名したノア・クラウニーとダリーク・ホワイトヘッドは粗削りで、勝利を目指す層の厚いチームでは出番が回ってきませんでした。しかし、勝利より成長へと明確にシフトする今シーズンは多くのチャンスを得られそうです。 また、他のチームで居場所を確保できなかった若手に『敗者復活』のチャンスを与えるのはネッツが得意とするところ。今オフは元グリズリーズのザイール・ウィリアムズ、元ピストンズのキリアン・ヘイズを獲得しています。ケガの多かったウィリアムズはロスターに加え、NBAのスタイルへの順応に苦しんだヘイズはGリーグで出直しさせるようでますが、新たな環境で復活を期します。 もう一つの注目は近年のネッツにとって最大の誤算となったベン・シモンズです。厄介な腰のケガに苦しみ、この3シーズンで57試合にしか出場していないシモンズは契約最終年を迎えています。不良債権のまま大型契約を全うするのか、それとも逆転で復活を果たすのか。健康であれば十分な戦力になるはずで、ここまでコンディションは非常に良いようですが、開幕時に好調でもすぐに戦線離脱するシーズンを繰り返しているだけに、先の予想がしづらい選手です。 ネッツにとっては勝利を追い求めるシーズンではありませんが、個々の選手にとっては自分の価値を高める、あるいはNBAで生き残るチャンスを追い求める挑戦となります。そこで生まれる様々な人間ドラマは、勝敗と同じか時にはそれ以上にエンタテインメント要素の強い、NBAの楽しみ方です。