年金生活を間近に控える60歳です。大学生のときに「学生納付特例」を利用しましたが、年金額はどのくらい減るのでしょうか?
学生の間はバイトと勉強の両立であまりお金を稼げず、年金保険料が支払えないという方もいるでしょう。そうした場合に、利用できる制度が「学生納付特例」です。 ただし、学生納付特例を利用すると、老後の年金額が変動する可能性があります。年金を満額受け取りたいときは、制度の利用後に対策が必要です。今回は、学生納付特例の概要や年金額がどれくらい変わるのか、また60歳でもできる年金額を増やす方法などについてご紹介します。 ▼年金機構から「差し押さえ」の手紙が届いた! 口座残高「ゼロ円」で差し押さえる財産がなければ大丈夫?
学生納付特例とは
大学や高等専門学校などに通う学生が、国民年金の支払いを猶予してもらえる制度が「学生納付特例」です。本来、年金を受け取るためには受給資格期間が10年以上あることが必要ですが、制度を利用すると猶予されている期間も受給資格期間に算入できます。 日本年金機構によると、学生納付特例を利用できる条件は、本人の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」の合計額以下の学生です。また、1年以上の課程に在学している必要があります。 なお、あくまでも学生納付特例は受給資格期間のみに算入されるので、受け取れる老齢基礎年金額の計算には加えられません。例えば、20~60歳の40年間のうち4年間にわたって制度を利用した場合、受給資格期間は40年ですが、受給金額の計算に使われるのは36年分です。 もし、年金を満額受け取りたい場合は、制度を利用してから10年以内に4年分を追納する必要があります。10年を超えると追納できないため、学校の卒業後で経済的に余裕があるときは、なるべく早いうちに追納をしておきましょう。
制度を利用すると受け取れる年金はどれくらい変わる?
受け取れる老齢基礎年金額は、免除制度を利用していなければ「満額の老齢基礎年金額×保険料を支払った月数/480ヶ月」で求められます。今回は、国民年金を支払うことで受け取れる老齢基礎年金のみの金額で、学生納付特例を使用した場合と全期間支払った場合の金額差を比較しましょう。 令和6年度の老齢基礎年金額は、満額で81万6000円です。もし20~22歳までの2年間、学生納付特例を利用したとすると、保険料の支払い月数は456ヶ月です。そのため、老齢基礎年金額は「81万6000円×456ヶ月/480ヶ月」となり、77万5200円を受け取れます。満額と比べると、4万800円の差です。