消防団員の重要性再認識、確保にあの手この手…重機運転免許取得を支援・自販機での「勧誘」も
能登半島地震後、避難誘導や消火活動を担う消防団員の重要性が再認識され、自治体などが確保や勧誘に力を入れている。重機の運転免許取得を支援したり、自動販売機で入団を呼びかけたりと知恵を絞る。団員が減少するなか、全国統一の入団促進マニュアル策定に取り組む総務省消防庁は「団員を長く続けられる環境作りを進めたい」としている。(松本支局 山口正雄、地方部 長谷裕太)
長野県松本市は今年度、ポンプ車の運転免許やドローン操縦士資格など7種類の講習費用を補助する制度を始めた。
消火活動で主力となるポンプ車の免許取得には、全額を支援。ドローン、ブルドーザーなどの操作、運転を学ぶ場合は、10万円を上限に費用の3分の2を補助する。消防団員で重機の免許を取得した会社員西原貴弘さん(47)は「洪水などの現場でも迅速な活動ができるようにしたいと思う」と意気込む。
市の消防団員は1695人で、必要とされる条例定数(2169人)の8割にも満たない。市消防防災課の内山博司課長は「若者の確保が目的。団員として活躍しながらスキルアップにつなげてほしい」と言う。補助制度の募集は8月に開始、今月5日時点で20~40歳代の団員7人が申し込んだ。
「消防団員となって地域の皆さんと一緒に活動しませんか――」
さいたま市大宮区の市街地には3月、代金を投入すると、音声で消防団員への応募を呼びかける自販機が登場した。自らも消防団員の飲料大手「ダイドードリンコ」(大阪市)社員、嶋田勝さん(56)が企画した。「特殊詐欺の注意を呼びかける自販機を設置していることを思い出し、会社に協力してもらった」と話す。
音声では「お餅はのどに詰まらせないように小さく切って」など季節に応じて購入者を気遣う。市消防局消防団活躍推進室の古屋美智子室長は「ユニークなアイデアで団員確保につなげてもらえる」と感謝する。
このほか、和歌山市消防団は和歌山大学と連携し、学園祭で入団を呼びかけるイベントを開催。横浜市の旭消防団は女性が参加しやすい訓練を実施している。