「移住しただけで理想的な暮らしができるわけではない」週末北欧部chikaが実践した会社員のまま次のステージを探す方法
新刊『フィンランドくらしのレッスン』を上梓した週末北欧部chikaさん。フィンランドでのリアルな暮らしで、自分をどのようにアップデートさせているのでしょうか。夢を実現させる生き方についてもお聞きしました。 【画像】編集・デザインを手がけた漫画『Suomi-friikin päiväkirja』
暮らしは自分で作るもの
──フィンランドでの暮らし方や働き方で影響を受けたのはどんなことでしたか? いちばん大きかったのは、移住したからといって理想的な暮らしができるわけではなく、暮らしは自分で作るものだということに気がつけたことです。 たとえばフィンランドでは、勤続1年後に1カ月の有給休暇を取得できる「1カ月のサマーホリデー」という制度があります。 移住する前は、「フィンランド人は休みが多くていいな」と思っていたのですが、実際に暮らしてみると、「無給でもいいから1ヵ月のホリデーがほしい」という人もいれば、休みを取りたくない人もいて、「休みが多い」ことがいいのではなく、それぞれ「自分で選択」できることが良さなんだと、はじめて気がつきました。 誰かの物差しで生きるのではなく、自分の物差しと決断で人生を作っていく。それはフィンランドでの暮らしや働き方ですごく学んだことです。 ──「自分の暮らしを作る」ためには、自分の思いや考えを口に出すこともとても重要だと「率直に言い合う」の章で紹介されています。 フィンランド人は、どちらかというと無口な方が多く、国民性としても自己主張が激しいほうではありません。でも、「自分はこう思う」「自分はこう生きたい」ということは、はっきり口にする方が多い印象です。 また、フィンランドでは日本のように黙っていても状況を察して手助けしてくれるということはないので、「困ったことは自分から助けを求める」「してほしいことは口に出す」ことは意識しています。 働き始めた頃、ボスからも「困った時は言葉に出して。言ってくれないと、何に困っているかわらないから、助けられない」とアドバイスをいただきました。 できることとできないこと、やりたいこととやりたくないことの線引きも上手です。「これ以上はできない、やりたくない」ということもはっきりと主張するので、最初の頃は「ここまで言って大丈夫……?」と戸惑うこともありましたが、彼らにとってはそれが当たり前のことなんです。揉めているわけではなく、よりよい解決策を導き出すために議論しているだけだということがわかってからは、私もちゃんと「ノー」や自分の要望を伝えるようにしています。