”積水ハウス地面師事件”の犯人は有名デベロッパーの「元財務部長」…犯人の知人が語るその巧妙な詐欺テクニックとは
Netflixドラマで話題に火が点き、「地面師」はもはや国民的関心事となっている。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 11月1日と8日には、あの人気番組「金スマ(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)」でも地面師特集が放映されたほど。同番組では、ネトフリドラマの参考文献になったノンフィクション『地面師』の筆者・森功氏がゲスト出演して、地面師の手口を詳しく解説している。 不動産のプロですらコロッと騙されるのだから、私たち一般人が地面師に目をつけられたらひとたまりもない。そのリスクを回避するためには、フィクションのドラマを観るより、地面師の実際の手口が詳細に書かれた森氏のノンフィクションを読むのが良いだろう。 森功著『地面師』より、自己防衛の参考になる箇所を抜粋してお届けしよう。 『地面師』連載第6回 『巧妙すぎる手口…業界にその名を轟かす「大物地面師」がターゲットの物件横の「駐車場」を借りた衝撃の理由』より続く
国税局に太いパイプを持つ漢
不動産業界のみならず、企業社会が驚愕した積水ハウスの地面師事件の捜査は、2018年が明けて間もなく開始された。被害総額55億5000万円という大事件だけに、警視庁の捜査は慎重にならざるを得ない。積水ハウス事件の前には、その準備ともいうべき捜査2課の手掛けた捜査があった。それが渋谷区にある「東京音楽アカデミー」という専門学校の所有地をめぐる、手付金詐欺だ。 警視庁はその捜査ターゲットに小山操を据えた。のちにカミンスカス操として国際手配された小山は、2000年代初頭にマンションデベロッパーとして名を馳せたABCホームの財務部長を務めたこともある。国税当局に太いパイプをもつと自称し、この世界に身を投じたとされる。積水ハウス事件における主役の1人である。事件の内幕に詳しい小山の知人と出会うことができた。 「専門学校、東京音楽アカデミーの扱いを小山に任せたのが、あの北田でした。彼らにとっては、積水ハウスに触手を伸ばす前のいきがけの駄賃のような感覚だったのかもしれません。東京音楽アカデミーの土地は富ヶ谷にあり、マンション用地としてうってつけでもあった。そこで北田や小山は東京音楽アカデミーの代表者のなりすましを仕立て、買い手を探した。そして、うっかり彼らに乗せられた不動産会社に手付金を振り込ませます」 事件の概要をそう明かしてくれた。北田とは、先に紹介した北田文明のことであり、積水ハウス事件でも内田マイクとともにその影が見え隠れしてきた。東京音楽アカデミーを巡る手口は以下の通りだという。
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