米国の高関税政策で「トランプ・インフレ」発生の恐怖 ビットコインの「バブル崩壊」なら金融不安を招きかねない
仮想通貨が急落すれば想定以上のリスク
インフレへの懸念がビットコインの価格をこれまで押し上げてきたが、過ぎたるは及ばざるがごとし。インフレがさらに進めばリスクマネーが減少に転じ、ビットコインの価格は急落する可能性は十分にある。 仮想通貨が米金融システムに及ぼす影響は無視できないものになった。 米財務省によれば、仮想通貨市場の時価総額は約2.4兆ドル(約360兆円)と急拡大している(米株式市場は約60兆ドル[約9000兆円]、米国債市場は約6兆ドル[約900兆円])。 仮想通貨は既存の金融システムのアンチテーゼとして誕生したが、大統領選挙後に上場投資信託(ETF)を通じて約100億ドル(約1.5兆円)規模の資金が流れこむなど、既存の金融システムとのつながりは強まるばかりだ。 仮想通貨は急騰と急落を繰り返してきた。仮想通貨の価格が今後急落すれば、複雑な形で金融システムに波及し、リスクが想定以上に大きくなってしまうかもしれない。 このように、トランプ次期政権の政策運営は波乱含みだ。好調な米経済が急減速する可能性は、排除できないのではないだろうか。 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮編集部
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