コーラにソーダ、スイカ、安納芋まで!?ユニークなフレーバーのプロテインを開発し続ける武内製薬の“日本一戦略”
2019年ごろから続く健康志向ブーム。筋トレや家トレ人口が増加するとともに、プロテインの市場も大きく成長を続けている。また、近年問題視されているのが日本人のタンパク質不足。タンパク質の摂取量が、戦後間もない1950年代と同水準まで減少しているという。 【画像】2024年4月1日にXに投稿した「にんにく背脂醤油ラーメン風味」 さまざまな企業が多種多様なコンセプトのプロテインを発売するなか、ユニークなフレーバーのプロテインに挑戦し続ける企業がある。武内製薬株式会社(以下、武内製薬)のブランドである「THE PROTEIN」(以下、ザプロ)は、ほかのメーカーにはないユニークなフレーバーを展開し、多くのファンを獲得している。 今回は「フレーバー数日本一」を目指す武内製薬のEC事業部長 「THE PROTEIN」ブランド責任者の三上拓哉さんに、さまざまな味のプロテインを展開する理由や人気商品、そしてこれから挑戦してみたい味などについてお話を聞いた。 ■「日常に寄り添ったプロテインを!」ザプロ誕生のヒミツ 武内製薬がザプロの商品展開を始めたのが2021年の初頭。もともと脱毛サロンの経営やブラジリアンワックスの販売などを行っていたこの会社は「自社の新たなブランドを、市場規模の大きなところで展開したい」という目標を持ってプロテイン市場に参入。 当時、プロテインはさまざまなメーカーが販売している、いわゆるレッドオーシャンの状態だったが、武内製薬は他の会社が目を向けていない新たな需要の開拓を行った。 「このころのプロテインはマッチョを目指す方たちが飲むものというイメージが強くありました。そこで、弊社では女性でも買いやすいようにユニセックスな訴求を行い、プロテイン初心者が日常の健康管理やタンパク質補給のために飲めるものを作ることにしました」 市場での展開を始めてからは、定番のココアやバナナのようなフレーバーのものをはじめ、人工甘味料を使っていない商品、牧草だけを食べて育った牛のミルクのみを使った商品、そして体を大きくするために糖質を多く含んだソイプロテインなどを発売。通販サイトのAmazonを中心に、徐々にブランドの地位を確立するに至った。 「1年ほど前に商品展開の方向を確立させ、『日本一のフレーバー数』を目指すことにしました。ほかのメーカーが出していない珍しく多様なフレーバーを展開することで、毎日飲むプロテインを自分の好きな味で楽しめるという価値を提供し、業界で勝負することになりました」 ■ユニークなプロテインを作り続ける武内製薬 武内製薬が過去販売したフレーバーは100種類以上。「ココア」や「バナナ」といった定番の味から「コーラ」や「ソーダ」、「桜餅」、そして夏にぴったりの「スイカ」や秋の味覚「かぼちゃプリン」など、ほかのブランドでは見られないものもたくさんだ。フレーバーの選定や試作の際は、珍しさだけでなく実際に飲んでおいしいものを精査しているという。 「新しいプロテインを作る際は、ユーザーへのアンケートを参考にしたり、ハロウィンやクリスマスといった季節を活かしたものを中心にアイデアを出したりしています。また、弊社ではマグケーキ用のフレーバーも販売しており、プロテインでケーキを作った際においしい味になるものを開発しています」 ユーザーに寄り添ったフレーバーの開発をしているという三上さん。SNSを駆使したコミュニケーションも重視していて、ユーザーから「こんな味を出してほしい!」というリクエストが来ることもあるのだとか。ユニークかつ実用的なコンセプトでブランドを展開しているザプロは、独自のファンづくりに成功している。 「弊社がこれまで発売した商品の中でも、特に評判がよかったのが『安納芋』でしたね。本物のサツマイモ粉末を使用しているので、スイーツ感覚でプロテインを飲みたい方がよく購入されています。牛乳で割ればスイートポテトのような味わいになるので、アレンジもできるのがおすすめポイントです」 ■「今以上にユニークなフレーバーづくりにチャレンジしたい」 「日本一のフレーバー数」を目指し、日々新しい商品の開発に取り組む武内製薬。これからもユーザーと寄り添いながら、ザプロならではのブランド展開に取り組んでいく予定だ。三上さんは「まずは手に取ってザプロのおいしさを味わっていただき、そしてさまざまなフレーバーにチャレンジしてもらいたい」と話す。 「ユーザーの需要を読み取り、新たなフレーバーの発案や開発を行っていきます。2024年のエイプリルフールにジョークで『にんにく背脂醤油ラーメン風味』を発売するというポストをXで行ったところ、予想以上の反響がありました。嘘から出た誠ではないですが、今後は”二郎系”のようなインパクトのあるフレーバーを開発してもおもしろいかもしれませんね」 今後はお湯に溶かしてスープ感覚で飲める「ホットプロテイン」や、カレーやシチューに加えて飲めるプロテイン、47都道府県の名産品のフレーバー、そしてさまざまな企業とのコラボプロテインなど、さまざまなアイデアを視野に入れて事業を行っていきたいと三上さん。これからの商品が楽しみだ。 日本人のタンパク質不足が叫ばれるなか、手軽にタンパク質を摂取できるプロテインの需要は今後さらに増加するだろう。市場も拡大していき、各社がそれぞれのコンセプトで新たなプロテインを打ち出していくなかで、武内製薬のザプロはどのような展開をみせるのだろうか。 取材・文=越前与