「モアナと伝説の海2」“王子からの卒業”幸せの多様性を示唆する作品
【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。2026年4月から始まる「子ども・子育て支援金制度」が一部で「独身税」と揶揄され、批判の声が上がっています。同制度では独身の方のみが負担をするわけでは決してないのですが、恩恵を受けられるのが子育て世帯に限られるんですよね。日本は現在未婚率が年々上昇していますから、そのような意見が出るのも致し方ないのかもしれませんね。 結婚だけが幸せの形ではない。そんな社会の変化を感じる一作として、現在公開中の映画「モアナと伝説の海2」を紹介します。 今作は16年公開の前作の続編です。モアナが冒険の果てに故郷の島を救ってから3年。人々の絆を取り戻すため、海の果ての島を目指し冒険の旅に出るというストーリーです。 ディズニーのプリンセスシリーズというのは、長い歴史がありまして、まさしくディズニーの看板商品です。古くは1937年の白雪姫から始まって、シンデレラが50年、オーロラ姫が59年。それからずっとこの系譜が続いているんですよね。白雪姫なんて、第2次世界大戦より前ですから。これはもうすごいことですよ。 そんな看板シリーズも近年、具体的には2013年の「アナと雪の女王」以降、ある方向へと大きくかじを切ったんですよ。それが王子からの卒業なんですよね。アナと雪の女王でも王子は実はウソつき野郎で、アナは最終的に王子じゃないクリストフとくっつきます。また、エルサは結婚もしてないですよね。 今作も16年に登場したんですけど、王子が出てきていないのがポイント。一緒に冒険するのは半神半人のマウイっていう相棒で、全く恋愛しないんですよ。これは、白馬の王子様に助けられなくても、姫は幸せだよっていうメッセージが込められているんじゃないかと思うんです。 今までの考えでは、結婚して良いところの家に嫁いで、子供をたくさん産んで育ててというのが女性の幸せというような考えが確かにあったと思います。白雪姫なんかもまさにそうです。しかし、幸せの形は決して1つじゃないよね、と。王子に頼らないで生きていくプリンセスから、自立した女性の美しさを伝えているのかなと感じました。 国民一人ひとりが自身で幸せの形を見つけ出すことは本当に素晴らしいことです。ですが、次の世代を支える若い力を皆で支えていかなければならないこともまた事実。双方がうまく両立するような社会であってほしいですね。多様化について考えるきっかけをくれる作品です。ぜひご覧ください。
有村昆