ニオイが気になる今こそ知りたい「ワキガの科学」。日本の研究チームが原因菌の特定に成功!
なお、ラピフォートはワキガだけでは保険適用されず、適用されるためには今のところ多汗症の診断が必要です」 さらに重度の人にはアポクリン汗腺を切除する手術や、皮膚の上からマイクロ波を当てて汗腺の働きを抑えるやり方もあるが、そういった治療法が必要になる人はごく一部だという。 「ワキガのチェック方法に『ガーゼ法』というものがあります。脇にガーゼを挟んだ状態でウオーキングなどの軽い運動をして、そのガーゼを他人に嗅いでもらいます。ガーゼを持って診察室に入ってきただけでにおうような方は治療対象ですが、そんな人は多くはありません。鼻を近づけてやっとにおうくらいなら、治療は必要ないでしょう」 それでも自分のワキガが気になってしまう人は、治療を検討する前に一度立ち止まって考えてほしいという。 「ワキガの治療をしたいといって来る患者さんの中には、『すれ違った人が鼻をつまんだ』とか『電車に乗ると隣の人が移動した』などと訴える人が少なくないのですが、そういう方はワキガ以前にメンタルを病んでしまっている場合があります。 『自分の体臭が他人に迷惑をかけているのでは』と思い込む自己臭恐怖症です。手術をしたのにまだワキガを気に病むような方には精神科を紹介させていただく場合もありますよ」 土井医師も「ワキガは病気ではない」と常々患者さんに説明しているそうだ。 「医学的にはワキガを『腋臭症』と呼びますが、まずこの名称が良くないですよね。『臭』という漢字が入ってしまっていますから。 『ワキガ』という言葉の語源ははっきりしていませんが、私は『脇香』が正解ではないかと思います。嫌なにおいではなく、時には魅力にもなる個性ということです。だから、あまり気にする必要はないですよ」 最新知見を取り入れて、ニオイの気になる夏を乗り切ろう! 取材・文/佐藤 喬 写真/iStock PIXTA イラスト/渡辺貴博