【堀田茜さん】現代アートの専門家に教わる「本もアートも好きなとこだけ見てもいい」|CLASSY.
堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載18回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
最後まで読まなくてもいい。本もアートも好きなところだけ、でいいんです。
今月のゲストは…アートアドバイザー・インテリアコーディネーター・エッセイスト・奥村くみさん 【今月の茜のモヤモヤ案件】 30代になって改めて本の魅力を感じています。紙離れや本離れと言われる時代で私もついスマホを触ってしまいますが今だからこそ読書の良さをたくさんの人に知ってほしい!伝えたい!と思います。本やアートと暮らすことのすばらしさを提案している奥村さんにお越しいただきました。 「発する言葉は人をあらわす。言葉選び、言い回しのセンスは本から集められます」(奥村) 茜:どうしたら読書を魅力に思ってもらえるんでしょうか。 奥村:“これは好き”と感じる本を見つけるのが大事なので、自分が居心地のいい書店に行き、人のおすすめにとらわれることなく、パラパラといろんな本を見て「これなら最後まで読めるかも」と抵抗のないものを手に取ってみてほしいです。 茜:少し前まで、本って頭の一文字から最後の一文字まできっちり読まなきゃ読んだことにならないと思い込んでたんですよ。でも奥村さんの本にも「ザッピングしてみるのもいい」って書いてあって、パラパラめくって好きなところから読んでいいんだよなって気づきました。 奥村:そうそう、本もアートもどこから見始めてもいいし、自分の好きなところだけを見てもいいし、好きなところは何回おかわり鑑賞してもいいんですよね。推理小説だとそうもいかないですけど…! 茜:本離れしてる人が手に取りやすいジャンルの本はありますか? 奥村:本屋大賞にノミネートされる書籍は読みやすいと思います。軽めのエッセイもいいかもしれないですね。旅もの・食べものとか、ファッションものとか。文字ばかりが疲れるならば写真がいっぱい使われた本。最近読んだ沢木耕太郎さん著『心の窓』という旅エッセイ本があって、一枚の写真に短い素敵な文章が添えられているんですけどそれが私は大好きです。ストレスフリーですぐ読めるところも良いんですけど、自分に合うそういう本を見つけて、朝の通勤時間や旅に持って行ってみるとか。すると本の中に「私はこの小説家が好き・映画が好き」なんて話が出てきて、今度はそれを見ようかなと好奇心の点々が湧きますよね。それが繋がって線になっていくのを感じられると、一気に本やその周りの物事が好きになるんじゃないでしょうか。 茜:30代になってから、人として厚みが欲しいと思い始めたんです。素敵な人たちって、何気なく発したひとことにも厚みがありますよね。私は人前に出る仕事だし、バラエティ番組に出るとひとことの積み重ねになるから、全部さらけ出してる気分。何を考えているのかきっと筒抜けなんだろうなって。読書を再開したのはその怖さから脱出するためでもあったので、奥村さんのおっしゃる通り、点々を拾い集めながら、自分の世界を作っていきたいです。 奥村:厚みのある人って、たくさんの言葉を集めて組合せることができるんですよね。発する言葉がその人を作るし、物事は言葉で動くからそれはすごく大切で。流行りの言葉しか自分の中にないと、人の心を打つことも難しい。だから私は言葉のセンスがいい人が好きだし、嫉妬します(笑)。堀田さん、そこまで考えているなら将来文章を書きたいと思う日が来るんじゃないですか? 茜:えぇ自信ないです…!でも子供の頃は絵本を書くのが好きでした。 奥村:いいですね。文章って一番その人が出ますよね。今日お話しして堀田さんの考えていらっしゃることを聞いてすっかりファンになってしまいました。たくさん吸収してもっと輝く方なんだろうなと思います。呼んでいただけてうれしかったです。 茜:それに応えられるようたくさん本を読んで言葉を集められる人になります。ますます応援しています!