「即レス」はやめた方がいい? 実はトラブルの原因になるビジネススキルとは
AIが日常で盛んに使われるようになり、仕事面でも多くのタスクがAIによってカバーできるようになりました。このような時代に、人間にこそ必要なスキルとは何なのでしょうか。 【表】ビジネスシーンで使う敬語は限られている 日本マインドワーク協会代表の濱田恭子氏は、ロジカルシンキングだけで勝てる時代は終わったと語ります。著書『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』より、これから求められるビジネススキルについて解説します。 ※本稿は、濱田恭子著『仕事がうまくいく人は「人と会う前」に何を考えているのか』(青春出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
即レスはやめなさい
最初にお伝えするスキルは、即レスをやめること。 「えっ?」と驚かれる人も多いでしょう。むしろ、ビジネススキルとして最初に教えられるのが、クイックレスポンスかもしれません。ここでは、その真逆のことをお伝えしています。 即レスをやめるとは、どういうことでしょうか?「クイックレスポンスをやめる(無視をしたり返答しない)」と言っているわけではないんです。 ビジネスにおいて、早くレスポンスをすることは重要とされています。「早い返答」はたしかに大事です。「イエス/ノー」など、用件にすぐ返答できることに関しては、この限りではありません。 つまり、ここでの即レスをやめるとは、すぐに返答してしまうことの中に、私たちのクセや物事の捉え方の思い込みが隠れていることがあるので注意が必要だということ。 しかしながら、それを考えずにそのまま打ち返してしまうことで、問題に気づかないことがあるのです。 私たちはすぐに返事をしようという習慣があります。既読がついているのに早く返事をしないと無視をしているように思われる、そんなふうに思っていませんか? しかしながらこれって結構トラブルのもとなんです。 私がコンサルに入った、ある会社での話です。社長とチームがあまりうまくいっておらず、いつも会議では空気が凍る。そんな会社でした。その会社のチームリーダーは、ミーティングが始まると誰かが改善案を出すたびにそれは無理です、とか、それは難しいと思います、という発言をして案を即座に却下してしまいます。 これって、なぜでしょうか?このあと、そのチームリーダーは仕事を辞めたいと言いだし、ゆっくりお話を聞いてみると、実は前職でたくさんの仕事を抱えて振り回されるという経験をしてきたそうです。 何かの新しい案が出るたびに、このままだと大変なことになる。これ以上振り回されたくない。いったん断っておかないと、これまで立てたスケジュールがめちゃくちゃになりそう、など、「振り回されることになるかもしれない」と危険を察知して防御してしまう、というクセがあるということに気づきました。 つまり、「無理です」と言って押し返しておかないと、不安になってしまうということを話してくれました。過去に強引な人の言うことを聞いて振り回された経験が、「無理です」という即答につながっていたのですね。 そこで「誰もあなたに無理をさせようとしていないよね」とか、「押し付けていないよね」ということを理解してもらうことができ、彼女も話せてスッキリしたのか、辞めるということを撤回することになりました。 即レスする前に、○○だな、と自分の感情に気づくことができたら、大きくトラブルは減ります。自分の感情、つまり「自分の物事の捉え方」。これを認知というのですが、この認知していることを大きく俯瞰して観る(これをメタ認知といいます)。 このクセをつけることで物事が起きたときに脊髄反射のように反応を起こしてしまうことを防ぐことができます。 彼女の場合も、自分のいつもの即レスのパターンや自分のどんな感情が、その即レスの背後にあるのかに少しでも気づくことが一番大切です。そうすることで、人間関係が苦しくなることが減るかもしれません。