【2024 Moto3 第12戦アラゴンGP】ホセ・アントニオ・ルエダが今季初優勝! シリーズ争いはコリン・ベイヤーが2位に入り、ランキングでも2位に浮上
絶好調のアロンソを止めたルエダ
8月30日から9月1日にかけてスペインのアラゴン州にあるモーターランド・アラゴンで2024年MotoGP世界選手権第12戦アラゴンGPが行われた。ここまで圧倒的な速さと強さでチャンピオン街道を突き進んでいるダビド・アロンソ(CFMOTO Valresa Aspar Team)。アロンソの優位は揺るがないが、今大会では今季ライバルと目されていたルエダが立ちはだかった。 【写真はこちら】2024 Moto3 第12戦アラゴンGP レポート 第12戦の舞台はモーターランド・アラゴン。土曜日の夜に降った雨の影響もあり、ドライコンディションではあるものの、コースには所々ウェットパッチが残る難しいコンディションとなった。 さらに今年の春に路面が改修されたこともあり、フリー走行からグリップ不足に苦しむライダーも多い。決勝はサバイバルレースになることも予想された。 ポールポジションを獲得したのは目下連勝中のアロンソ。初日から予選まで全てトップタイムとここアラゴンでも好調で優勝と完全制覇を狙う。 2番グリッドにルエダ、3番グリッドにはダビド・ムニョス(BOE Motorsports)がついた。ムニョスは予選では毎回単発ではタイムが出せず、今回も速いライダーの背後でタイムを詰めている。もちろん決勝レースでの勝負強さは光るものがあり存在を無視することはできないが、今回に関して言えば2番グリッドを獲得したルエダに注目が集まった。 開幕前からタイトル争いに加わってくると思われていたルエダは力強い走りを見せていたが、第3戦アメリカズで盲腸のため緊急手術を受けることに。第5戦フランスGPで復帰するも、開幕直後に見せていた速さは鳴りを潜めてしまっていた。 そんなルエダが地元で速さを取り戻した。フリー走行から予選までの全てのセッションでトップ3に入り、決勝ではMoto3初優勝を狙う。 気温23度、路面温度29度でドライながら濡れた部分もある難しいコンディションの中、17周の決勝レースがスタート。 レコードラインと被るポールポジションからスタートを決めたアロンソがホールショットを奪いトップでターン1を通過。数台による2番手争いが繰り広げられたため、アロンソがいきなり1秒以上のマージンを築き独走状態となる。 予選15番グリッドスタートの古里太陽(Honda Team Asia)がスタートを決め2位集団に入っていく。ペースの良い古里は5周目には2位に上がり、トップのアロンソを追う。 アロンソが古里に反応しペースをあげ、両者の差に変動なし。そんな古里に接近したのがタイトルコンテンダーの1人であるコリン・ベイヤー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)だった。 7周目に古里を攻略するとファステストラップを連発しトップのアロンソとの差を詰めていく。アロンソもベイヤーに反応しペースを上げるも、11周目にはベイヤーがアロンソの背後にまで迫ってきた。 そして12周目にベイヤーが労せずしてトップに浮上。リアタイヤに苦しむアロンソはポジションを上げてきたルエダ、そしてルカ・ルネッタ(SIC58 Squadra Corse)にも捕らえられ4位にまで後退してしまった。 トップに立ったベイヤーにとってタイトル争いにおいてアロンソとの差を詰めるチャンス。しかし、後方からルエダがハイペースで接近し、13周目にベイヤーを捕らえトップに浮上した。 ルエダは最終的に2位のベイヤーに約2秒差をつけて優勝。Moto3クラスでついに初優勝を挙げた。2位にはベイヤー、3位にはルネッタが入り、こちらも自身初の表彰台を獲得。最高位6位だったルネッタだったが、今季初めて表彰台に登るイタリア人ライダーとなった。 終盤には5位のジョエル・ケルソ(BOE Motorsports)の追撃にあうも、アロンソは4位でフィニッシュ。リアタイヤの消耗に苦しむもダメージを最小限に止めてみせた。 スタートでは順位を落とすも力強いレースを展開し初優勝を挙げたルエダ。自身のポテンシャルを見せつけたのもあるが、スタート時に決めたタイヤ選択が今回の優勝に大きく手繰り寄せた要因である。 大半のライダーがリアにミディアムを選択する中、ルエダはハードタイヤを選択していた。アロンソをはじめ、多くのライダーがリアの摩耗に苦しむ中、ルエダが終盤まで一貫した速さを保てた理由はここにあったのだ。 世界選手権での初優勝を挙げ、2戦欠場ながらランキング6位に浮上。そして、記念すべき初優勝を3年前の同地でレーシングアクシデントにより他界してしまった友人、ウーゴ・ミリアンに捧げた。 チャンピオン争いではアロンソがランキング2位のベイヤーに対して75ポイントと大差をつけているものの、ルエダの躍進により、残りのレースではこれまで以上に優勝争いが熾烈になっていくだろう。 予選から苦戦を強いられた日本勢は古里が6位、鈴木竜生(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)が14位に入りポイント獲得。山中琉聖(MT Helmets - MSI)は19位でレースを終えている。
河村大志