川崎汽船、通期経常利益2400億円に上方修正。自己株900億円を追加取得へ
川崎汽船は5日、2025年3月期の連結経常利益が前期比81%増の2400億円となりそうだと業績予想を上方修正した。8月公表の従来予想を200億円上回る。上期のコンテナ船市況の上昇を反映するほか、ドライバルクや自動車船事業の堅調が寄与する。株主への追加還元策として最大900億円の自己株式取得を決め、年間配当を従来計画比15円増の1株当たり100円(前期は約83円=株式分割後基準)に引き上げる。 株主還元を巡り、川崎汽船は今期以降、配当に加えて1800億円規模の追加還元を行う方針を定めており、このうち既に908億円の自己株式取得を実施済み。今回、同方針に基づき、来年2月末までに最大900億円の自己株式を取得することを決めた。 通期の連結業績予想は売上高が前期比8%増の1兆300億円、営業利益が26%増の1060億円、純利益が2・3倍の2350億円を見込む。 下期の為替レート前提は1ドル=140・46円、燃料油価格はトン当たり621ドル。下期の為替感応度は1円の変動で16億円の影響が生じる。 ■コンテナ船3.2倍 通期のセグメント別経常利益予想は、製品物流事業が77%増の2275億円を見込む。このうちコンテナ船は3・2倍の1450億円に拡大する。 コンテナ船は中東情勢や北米東岸の労使交渉などの不透明な事業環境に加えて、新造船竣工が需給に影響を与えると予想。自動車船事業では11月から欧州で中国からのEV(電気自動車)への関税が引き上げられた。これについてはハイブリッド車などに転換される見通しで、完成車の出荷は堅調に推移すると予想する。 ドライバルク事業は3・7倍の130億円を見込む。限定的な新造船竣工量を背景に中長期的に市況は底堅く推移すると予想。 エネルギー資源事業は33%減の50億円となりそう。ガス船、電力炭船、原油船の中長期契約で安定収益を確保する。 同日発表した全社の4―9月期連結決算は売上高が前年同期比18%増の5380億円、営業利益が38%増の611億円、経常利益が2・3倍の1873億円、純利益が3倍の1832億円だった。
日本海事新聞社