「鳴神シェフの料理教室に通ってる」 「ふーみん」のママ(78)が語る 歳を重ねても学び続ける“原動力”
「私の料理ってホッとする料理なんだ」
2021年から、「ふーみん」創業50周年を記念したドキュメンタリー映画『キッチンから花束を』の撮影を行う。(2024年5月31日公開) 斉風瑞 監督の菊池久志さんは、「ふーみん」を任せている甥、瀧澤一喜の小学校・中学校の同級生で、家族みたいな人。私たちは親しみを込めて“菊ちゃん”って呼んでます。「映画を撮りませんか」って言われたときは私も甥も「え? どういうこと?」って感じでした。映画なんて考えたこともありませんでしたから。 でも、監督の熱心な説得もあり、じゃあ50周年記念に撮っていただこうかなって。撮られているっていう意識はあまりなくて、いつの間にか映画ができちゃったっていう感覚。緊張せずに自然体でいられましたし、すごく楽しかった。監督の趣味の範囲で作る記録映画かなって思っていたから全国で上映されると伺ってびっくりしましたけどね。 映画の撮影が始まった2021年には17年ぶりにNHK「きょうの料理」出演。 斉風瑞 スタジオでスタッフの方々が「ね、ホッとするでしょう」って、話しているのを聞いて、「私の料理ってホッとする料理なんだ」と、気づきました。私は料理の修業もしていないしプロの味じゃないと思うんです。レストランの味じゃない家庭料理だからかしら、と。それから以前、お世話になっていた方がお店に来られて「ここの料理には心がある。心を感じるのよ」って言ってくださって、とっても嬉しかったですね。 25歳でお店を持ったときには、これが一生の仕事になるなんて思ってもみませんでした。たくさんの方が応援してくださって、私の料理を求めてくださる限りそれに応えたいと思っています。 「斉」という新天地を得て、心と胃袋を満たす、ホッとする料理でゲストをもてなすふーみんさん。そのキッチンで「ふーみん」の定番的な料理を進化させたり、諸事情でメニューから消えた料理を復活させたり、新たな発想の料理が生まれたり、生涯現役を掲げる彼女はたくさんのお客様の笑顔を励みに、人との縁を大事にしながら楽しく料理を作り続けています。 斉風瑞(さい・ふうみ) 1971年、25歳のときに東京・神宮前に「中華風家庭料理ふーみん」を開店。1986年、40歳で現在の東京・南青山に移転。オーナーシェフとして厨房に立ち続け2016年、70歳を機に「ふーみん」を甥の瀧澤一喜さんに任せ勇退。2021年、75歳のときに神奈川県川崎市に「斉」をオープン。著書に『青山「ふーみん」の和食材でつくる絶品台湾料理』(小学館)、『ふーみんさんの台湾50年レシピ』(小学館)などがある。 「ふーみん」 所在地 東京都港区南青山5-7-17 小原流会館B1 電話番号 03-3498-4466
齋藤素子