「鳴神シェフの料理教室に通ってる」 「ふーみん」のママ(78)が語る 歳を重ねても学び続ける“原動力”
ふーみんさんのお気に入りのメニューは?
常連客たちの間では「ねぎワンタン」「豚肉の梅干煮」「納豆チャーハン」の人気が特に高く、この三品は常連客でなくとも注文率の極めて高い人気メニューとして知られる。 斉風瑞 「ふーみん」の原点でもある「ふーみんそば」もおいしいんですよ。ラーメン好きの私としては推したいところ(笑)。そういえば「ふーみんそば」の取材ってほとんどなかったような……なぜかしら。 私は外食をして、後で喉が渇くことがあるんですけど、それってちょっと嫌な気分でしょう。だから「ふーみん」では、喉の渇かない料理を心がけていて、「ふーみんそば」もそうなんです。軽やかでおいしいスープをたっぷり召し上がっていただきたい。飲み干す方も多いんですよ。 メニューから外してしまった「ガーリックチャーハン」も以前は大人気のメニューだったんです。「ねぎワンタン」同様、どのテーブルにもあったくらい。それなのにメニューから外した理由は私が腱鞘炎になってしまったから。ご飯を炒めている途中でお酒を加え、まとまってしまいそうになるご飯を手早く炒めてパラっとさせるのがポイントなんですが、これがなかなかの重労働。腱鞘炎になってしまって、これは無理だと諦めたメニューです。
現在78歳。作ってみたい料理は?
2016年、70歳になったことを機に「ふーみん」を甥の瀧澤一喜さんに任せ勇退。2017年には妹の芳子さんと共に「食+α研究所」を立ち上げてワークショップの開催や出張料理人など、新たな食の探求を続けた後、2021年、神奈川県川崎市高津区に「斉」をオープン。厨房からキッチンに場所を移して1日1組、大きな窓の向こうに豊かな緑が見える明るいダイニングルームでおまかせ料理8皿のコース料理を提供している。すでに人気料理、名物料理も誕生しているもよう。 斉風瑞 余裕ができて楽しく料理しています。ここではやりたいことがいろいろあって、例えば「牛肉そば」をお出ししたい。使うのは、牛肉のあばら骨の「ゲタ」と呼ばれる骨と骨の間の部位。それをカットして水から煮て、アクを取り生姜やネギを入れて塩で味付けした旨みたっぷりの牛肉のスープにそばを入れて、仕上げに小口のネギをのせます。青山のお店でできなかった理由はスープと肉のバランス。スープはどんどんなくなって肉が残ってしまいます。その肉を使う料理を考えていてできたのが麻婆豆腐なんです。ひき肉の代わりに柔らかく煮込んだ牛肉をカットして使う牛肉コロコロの麻婆豆腐。大人気なんですよ。 それに、毎日ではないけれど、ポツリポツリと新しいメニューも誕生しています。フランス料理・鳴神正量(なるかみまさかず)シェフの料理教室に通っているので、「あ、これいい、使おう!」なんていうこともあります(笑)。研究や勉強ということではなく純粋においしいからよく行くのは下北沢にある居酒屋さん「楽味」。私はお酒がまったく飲めないのですが、ここはメニューが豊富で、どれもおいしくて私の好み。近所だったら毎日でも行きたいくらい。季節を感じられるのも魅力です。 私は、体が喜ぶ料理を提供したいとお話ししましたね。薬膳はまだまだ勉強不足ですが結局、季節の巡りや自然の流れに沿ったものを食べることが食で養生する薬膳になるんだというのが私の中での結論。だから、そういう意味での季節感は大事にしたいと思っています。 ここでは、おまかせのコースでお料理を提供していて、ご予約いただいたお客様には「アレルギーや苦手な食材があったらおっしゃってください」って伺うんですけど、ある方が「ここでは苦手な食材を言わないようにしてるって」おっしゃったんです。以前、その方にはニラの花を使った料理をお出ししたんですけど「実はニラが苦手だったけど美味しく食べられたから。ここだと苦手意識がなくなるの」と。とっても嬉しかったですね。ますます頑張らなくっちゃって思います。 それから、チャーハンが食べたいというお客様がけっこういらっしゃいます。でも、一般家庭の火力でもパラパラには炒められるけれど、ちょっと口当たりが違うので私としては納得がいかないんです。ここの火力で作ることができるおいしいチャーハンを研究中です。