「100億投資しても、効果が全然出ない企業も…いったいなぜ?」御社の「DXが大成功する」解決策はたった2つだ そもそもの大前提として「まずやるべきことは?」専門家が解説
ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め、経営コンサルタントとして「40年の実績」を有し、「企業のDX支援」を多くてがけている大野隆司氏。 大野氏のところに届く「経営層からの相談内容」が、このところ大きく変化してきているという。「DXの効果が出ない」という悩みが目に見えて増えてきているというのだ。 なぜ、こうした悩みが生じているのか。大野氏が自身の経験や大手・中小企業の現状を交えながら「DXを成功させるための2つの解決策」を解説する。 【ひと目でわかる】そもそもDXには「2種類ある」のを知っていますか?
以前の記事(経営者は「DXへの過大期待」を今すぐ捨てるべきだ)で述べたように、「DXで狙う効果」は、主に以下の2つに集約されます。 ①「攻めのDX」…新しい顧客・市場の獲得や新規事業の創出などで「トップラインの伸長」を狙うもの ②「守りのDX」…「業務効率化」によって「コストの削減」を狙うもの 「業務効率化」によって「コスト削減」をはかるなどの「守りのDX」の効果を上げるには、「事業の拡大・成長のプラン」を同時に持っておくことが重要になります。
前回記事(「効率化で“不要になった社員”」活用する術ある? )で述べたように、業務効率化で浮いた従業員の再配置先として新事業が必要だからです。 とはいえ、「新事業を打ち出す」のは簡単なことではありません。 そのようなプランの準備に時間がかかりそうな企業に向けて、DXを「絵に描いた餅」にしないための「すぐできるアイデア」を2つほど提案したいと思います。 ■【アイデア1】効果が出ないなら「やめる」 アイデアの1つめは、「守りのDX」を「やらない」「やめる」ことです。
身も蓋もない言い方ですが、「ボトムライン」(当期純利益)への効果が見込めない取り組みに資源を投資することは避けるのが賢明といえます。 ちなみに「投資」とは「キャッシュ」以外に「人の時間」も含まれることも強く認識すべきです。 とはいえ、動いている取り組み・プロジェクトをやめるのは、始めることよりも難しく、またそれなりの労力が必要となります。 やめるためのアクションとしては、活動中のチームの解散と従業員の異動、ステークホルダーへの中止の説明、そしてDXの支援を依頼している外部業者との契約解除まで、いろいろあります。