<BOX速報>三浦が本場米国でダウン応酬の末、TKO負け!
プロボクシングのWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチが21日、米国・ラスベガスで行われ、王者の三浦隆司(31歳、帝拳)が、挑戦者の同級1位、フランシスコ・バルガス(30歳、メキシコ)に9ラウンド1分31秒TKOで敗れ、5度目の防衛に失敗した。三浦は4ラウンドに左ストレートでダウンを奪い、8ラウンドもKO寸前にまで追い込んでいたが、9ラウンド、逆に勝負をかけてきたバルガスの右ストレートからアッパーを浴びてダウンを奪われ形勢逆転。一度は立ち上がったが、パンチをまとめられたところでレフェリーが試合を止めた。三浦の成績は29勝(22KO)3敗2分となった。
1万2000人収容のマンダレイベイ・ホテル&カジノのイベントセンター。 まさに世界中のボクサーが目指す聖地のリングである。元4階級王者、ミゲール・コット(プエルトリコ)対サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)という全米が大注目しているWBCミドル級タイトルマッチをメインに控えたセミファイナル。しかも、PPVに組み込まれたのだから大快挙だ。国際プロモーター力のある帝拳グループでないと実現のできない最高の舞台だった。ボンバーレフトと呼ばれる、強烈な左ストレートを武器に3連続KO勝利で4度も防衛をしながら、まだコアなファン以外には、その知名度は高いとは言えなかった三浦にすれば、その拳で世界からミウラの名前をアピールする絶好の機会だった。 1ラウンド、バルガスの強烈な右のフックをヒットされ、三浦の両ひざががくっと沈んだ。絶対絶命。一気にラッシュをかけてくるが、三浦はなんとかこらえた。2ラウンドに入って三浦は、左のボディからペースを戻す。「おまえのほうがパンチ効いているからな」。葛西トレーナーの声が飛んだ。 上半身を動かさず正面に立つので、右をもらうシーンが目立つが、三浦も至近距離から左の上下を叩きこみ、4ラウンドには左ストレートがガードの上からヒット。メキシコ人挑戦者の足が止まった。残り10秒で狙いすました左のストレートが顔面に炸裂。バルガスは腰からコーナーに砕け落ちた。形勢逆転のダウン。バルガスは立ち上がったが、三浦は完全に主導権を取り戻した。 バルガスは右ストレートで三浦を止めようと試みるが、三浦の右フックや右ジャブが増えはじめて右目の上も下もカット。腫れ上がっていく。8ラウンド、バルガスが、勝負をかけてきた。三浦も、足をとめて応戦。バルガスの右か、三浦の左か。壮絶な打撃戦となった。ゴング間際に相打ちとなったが、三浦の左ストレートが勝った。バルガスは足がよろけて下がる。三浦は一気にラッシュをかけたが、バルガスはゴングに救われた。もう後のなくなったバルガスは、倒さねば勝利がないと覚悟したのだろう。 9ラウンド、挑戦者は、猛然と出てきた。いちかばちかの猛攻だった。 三浦は、左アッパーから左フック、右ストレートを浴びて体勢を崩したところに右のアッパーをもらい、体を横にしてキャンバスに打ちつけられるようにダウンした。両手を挙げ「大丈夫だ!」とアピールして立ち上がったが、もう目がうつろ。体に力が入らない。ダメージは明らかだった。必至にクリンチでしがみつき、回復を待とうとしたが、このラウンドを逃げきるには時間がありすぎた。バルガスは、猛ラッシュ。1分31秒、レフェリーが試合を止め、挑戦者のTKO勝利を宣言した。 観客を熱狂させたダウンの応酬。死闘の末べルトを失い、ディフェンスに課題は残したが、ラスベガスの目の肥えたボクシングファンの心をひきつける魂のファイトだった。新王者となったバルガスの右目は青く腫れ塞がっていた。