米大統領選で株価はどう動くのか? 経験則を調べてみると…【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#125 米大統領選が半年後に迫った。「大統領選の年は米国株は堅調」と巷間言われるが、本当なのか。経験則を調べてみた。 米大統領選とメジャー公式戦での始球式 トランプはやらずに落選、バイデンは… まず1970年から2023年までの米大統領4年サイクル(①中間選挙年②選挙前年③大統領選挙年④選挙翌年)ごとに、ダウ平均のパフォーマンスを見てみた。 「大統領選挙年」のダウ平均の勝ち負けは10勝3敗の勝率77%と高率だ。平均騰落率は5.9%の上昇だった。ほぼ経験則通りである。 勝率が最も高かったのは「選挙前年」で、13勝1敗の勝率93%。騰落率は15.8%の上昇だ。ちなみに「選挙翌年」は8勝5敗、「中間選挙年」は8勝6敗だった。 「選挙前年」が最も株高になるのは、現職大統領が再選を意識して景気刺激策を打ち出すことが理由と考えられる。昨23年もダウ平均は13.7%、ナスダックは43.7%も上昇した。 また選挙年の株価の推移は投開票の前までは横ばい気味だが、投開票が行われる11月以降に株価は上向き、年末高になる傾向がある。これは大統領選を巡る不透明感が後退するからだろう。 ダウ平均のデータが遡れる1896年のマッキンリー大統領からトランプ前大統領までの全31回のうち、共和党の大統領は17回、民主党は14回だった。任期4年通年でみた場合、共和党大統領の上昇確率は70.6%、民主党大統領は78.6%と、どちらの政党であっても任期中にダウ平均が上昇する確率は高い。 このデータで注目点をひとつお教えしたい。今回、トランプの復活なるかが焦点だが、大統領で政党が変わると、株価はどう動くのか。選挙の年と翌年で株価の騰落が逆転する現象が起きる。つまり、前大統領の4年目が上昇なら新大統領の1年目は下落という動きが多くみられるのだ。上記の全31回で、政権政党が交代したのは12回だが、うち株価の騰落が逆転したことは9回もある。 トランプが復活した場合、11月以降、ダウ平均が急上昇しても、来年は下落する確率が高い。そんな経験則を覚えておくのも損にはならないだろう。(丸)