北朝鮮兵が犬死にしても「とにかくミサイルをぶちあげろ」…金正恩がロシアへの協力を惜しまない「のっぴきならない事情」
10月31日、北朝鮮はICBMを発射した。新型の火星19号だという。ロフテッド軌道で打ち上げ、高度は7000kmを超え、86分間飛行した。ミサイルは約千km飛行し、北海道奥尻島西約200kmの会場に落下した。 【地図】これはヤバい…プーチンの核ミサイル攻撃で狙われる「日本の大都市」の名前 また、約1万人の北朝鮮の兵士がロシアに送られ、ウクライナとの戦争に参戦する。金正恩総書記とプーチン大統領の思惑を探りたい。
核弾頭数は前年比で90増
北朝鮮は、2006年10月に初めて核実験を行った。2009年5月には2回目の核実験を断行した。そして、2012年には憲法に「核保有国」と明記した。さらに昨年9月28日の最高人民会議で、核保有を永続化する方針を憲法に記すと明言した。 2013年までに3回目の核実験を行っているが、その後、核兵器の小型化にも成功しており、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2023年に30個、2024年に50個の核弾頭を保有しているという。 因みに、2024年現在で、アメリカが5044個、ロシアが5580個、イギリスが225個、フランスが290個、中国が500個、インドが172個、パキスタンが170個、イスラエルが90個である。前年比で比べたときに、北朝鮮、中国(90個増)、インド(8個増)が核弾頭数を増やしている。
ICBMに続きSLBMにも注力
核兵器のみならず、それを搭載して敵地に運ぶミサイルの開発にも、北朝鮮は余念が無い。 戦略核のトライアド(triad、三本柱)とは、(1)ICBM(大陸間弾道ミサイル)、(2)SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)、(3)戦略爆撃機の3つである。要するに、これらは、核兵器の運搬手段である。海外基地のない北朝鮮にとっては、爆撃機を対米攻撃に使うことはないが、ICBMの実験には既に成功しており、SLBM の開発にも力を注いでいる。 ICBMについて見ると、2022年3月24日に発射したICBM火星17号は、高度は約6200km、飛行時間は約71分、飛行距離は約1080kmである。因みに、2022年2月27日以来、23年3月16日まで、火星17号は、8回発射されている。 2023年7月12日には、ICBM火星18号を打ち上げたが、高度は約6600km、飛行時間は約74分であった。火星18号は、2023年4月13日にも発射されている。 火星17号も18号も射程は15,000km以上であり、今回の火星19号は、さらに飛躍的に性能を向上させていることが分かる。 北朝鮮とアメリカの距離は9640kmであり、これらのICBM火星19号は容易にアメリカ本土を攻撃できるのである。 SLBMについては、2019年10月2日「北極星3型」をロフテッド軌道で打ち上げた。910kmの高度に達し、450km飛翔したが、2500kmは飛行する性能を備えているという。これは、日本列島を射程に入れることを意味し、潜水艦から発射されるため、探知されにくい。 SLBMは、潜水艦の能力も重要である。もし、潜水艦でカリフォルニア沖まで接近することができれば、短距離ミサイルでも十分に米本土に到達できることになる。北朝鮮は、現在SLBMを搭載可能な潜水艦(コレ級)を1隻保有しているが、さらに大型の潜水艦を開発しているようである。 2021年10月19日、2022年5月7日と9月25日には、新型のSLBMを発射している。この射程は、約650kmである。