お笑い芸人で、映画監督 グランプリ受賞して実感した「利点」 漫才で鍛えられた〝特殊能力〟
芸人でありながら映画監督としても活動する「えふ」の門田樹さん。手掛ける作品がさまざまな映画祭でノミネートされています。「テンポよく進むワンシチュエーションの会話劇」という作風は、芸人だからこそ生まれたといいます。それぞれの活動が与える、いい影響とは?(ライター・安倍季実子) 【画像】映像を制作する門田さん 「ワンシチュエーションの会話劇」の作風 <門田樹:2006年に「エーデルワイス」を結成して、浅井企画へ。2021年に解散し、2023年に後輩芸人の松下社長さんと「えふ」を結成してフリーに。現在はライブを中心に活動している>
映画監督芸人、お笑いライブきっかけ
「映画やカメラが好きな芸人なら、映画監督にめちゃくちゃ向いていると思います」 そう話すのは、芸人と映画監督の二足の草鞋を履く、お笑いコンビ「えふ」の門田樹さん。 脚本・監督をつとめた最新作の短編映画「クジラの背中で話すコト」は、『TOKYO青春映画祭2024』をはじめとする数々の映画祭でノミネート&受賞を重ねています。 「子どもの頃からドラマとバラエティー番組が大好きで、将来はドラマを作る人か芸人になりたかった」という門田さん。美術系の大学に進学して脚本家を目指していましたが、ある脚本コンクールの授賞式で笑いをとったことで、芸人の道へとシフトしました。 芸人になってからも、芸人仲間の単独ライブで流すオープニング映像を撮るなど、映像制作を続けていたといいます。 再び、真剣に映画作りと向き合おうと思ったのは、「映画好き芸人が自分たちで撮った作品を流す」というライブへの参加がきっかけでした。 「漫才のネタを考える時に思いついたアイデアをまとめて、『くろまじゅつ』という作品を作って流したら、思いのほかお客さんの反応が良かったんです。試しに映画祭に出したところ、4つの映画祭で入選しました」 「実際に映画を撮ってみたら、すごく楽しかったですし、評価もしてもらえたんで、本気を出してやってみようと思いました」 その後、仲のいい後輩芸人のドドんが組むコミックバンド「THE 南無ズ」のミュージックビデオを手がけたところ、SNSでバズりました。 そこから映画や映像作品を撮れる芸人として知られるようになり、現在は短編映画、YouTube番組、ミュージックビデオの制作にも携わっています。