大谷翔平に学ぶ「言い聞かせるだけ」で人生が楽しくなる魔法の言葉
アスリートに同様のワークを行ってもらうと、Rが90%くらいになることが多い。試合に勝ったとき、シュートが決まったとき、1本を取ったとき、完登したとき、バーディーを取ったとき、チャンスをつかんだとき、1セット取ったとき、PKを止めたとき、などなど、アスリートは結果に伴う楽しさのために日々練習して努力している。がしかし、結果はコントロールできないので、アスリートも気づくと苦しくなって「不機嫌の海」に落ちていく。 ● 他者がいないと「楽しいこと」は? 自分ひとりで「楽しい」ことは? 次は、もう1つ別の視点で楽しいことリストを分析してほしい。「他者がいないとできない楽しいこと」は「Others」なのでO、「自分ひとりでできる楽しいこと」は「Myself」なのでMをマーキングしてみよう。Oはいくつあっただろうか?Oの比率は何%だっただろうか?一般に、60%から70%くらいが他者との関係の中で仕事の「楽しい」を感じている。部下が成長したとき、お客さんから感謝されたとき、仲間が元気なとき、職場の仲間とあいさつを交わしたとき、上司にほめられたとき、などなどは他者が必須の楽しさだ。チームスポーツのアスリートほどこの割合が高い。 先日、このワークをしたJリーグのゴールキーパーはOが100%だった。ディフェンスと意思の疎通ができたとき、オフェンスが点を取ってくれたとき、チームの一体感を感じたとき、ディフェンスが頑張っているとき、コーチングの声がピッチのみんなに届いたとき、などなど。人は認知的に他者とのつながりを大事にするために、ビジネスもスポーツもこのようにOの比率が高くなるのだ。 他者との関係で楽しさを感じる一方で、他者はコントロールできない存在でもある。多くの人は、人間関係でストレスを感じていたりもするのだ。結果や他者での楽しいことの比率が多いからダメなのではない。
自身が認知的な思考で楽しさをつくっているのだと気づくことが大事だ。人間は認知的だから、基本はそうなのだ。しかし、それだけだとリスクがある。 ● M&Pの王様、それは「一生懸命」を 自分で楽しむ心意気だ そこで、大切なことはM&P、すなわち、プロセスでかつ自分ひとりでできる楽しいが重要だ。20個のうち、M&Pはいくつあったのか?なかったかもしれない。もし、あったとすればどんなものだったのか?それが大事だ。結果や他人に依存しない、いつでも自分でできる楽しいことだ。行動でそれは認知的かもしれないが、どんなことがあるのか、自分で意識して実行してみよう。これは質の高いストレスコーピングの一種といえる。 さて、行動に頼らないライフスキル思考となるM&Pの王様はなんだろうか?大谷翔平選手は間違いなく、この楽しいで動いていると感じる。それは一生懸命が楽しいだ!何をしているかに関係なく、一生懸命にやっている自分が楽しい!これこそがM&Pの王様だ。 子どものころはこれがある。がしかし、大人になるにしたがって認知的になると、これを忘れてくる。子どもは、ただ一生懸命が楽しいから何ごともやっている。大人になるにしたがって、何かを得るとか、他者にほめられるとか、認知的な楽しみにシフトしていってしまう。 「一生懸命を楽しもう!」と自分に言い聞かせることが「ライフスキル」だ。そもそも、すべての人がその遺伝子を持っているといわれているし、すべての人は、子どものころにはそれができていたからだ。そう言い聞かせるだけで、子どものころの体験にアクセスできる。そう言い聞かせていくと、本来は人間として有している「一生懸命が楽しい」という遺伝子がONになって働きはじめる。 呪文のように「一生懸命は楽しい!」「一生懸命を楽しもう!」と自分に言い聞かせることが重要だ。大谷翔平選手もホームランを打ったら楽しいだろう、ピッチャーなら三振を取れば楽しいだろう、ファンに喜んでもらえたら楽しいだろう、結婚した奥様が喜んでくれたらなお楽しいだろう、どれも認知的だ。 しかし、これらはコントロールできないことも知っている。そこで、M&Pの王様である、「一生懸命を楽しむ」という「ライフスキル」を原動力に日常や練習や野球の試合を楽しんでいる。それがPlayHardの精神だ。「一生懸命を楽しむ」という「ライフスキル」を今一度見直してほしい。
辻 秀一