ワンオペで産後うつに。ベランダで「今死んでもなんにも感じないな」と思った私。助けを求めたけれど…【体験談】
いつも寝不足でワンオペ育児…ゆっくり休みたい。心身ともに疲弊
――退院後の生活、育児について教えてください。 高橋 退院後は、私の実家に3週間くらい里帰りしました。自宅から近いので、夫も週に2回ぐらい来ていて。基本的に、両親は食事の用意や洗濯をして、お世話は私がやるというスタイル。お世話以外しなくていいのは助かったんですけど、授乳で夜寝られないのは大変でした。 里帰り中にお世話に慣れても、自宅に戻れば、それまで両親がしてくれた家事をしなくてはならないので、結局、負担が増える感じでしたね。育児の悩みも、解消したと思うと、子どもの成長と一緒に、また別の心配が出てきて…。 娘が生後5、6カ月くらいのころ、寝返りをし始めて、うつぶせのままにならないようにと夜中もずっと注意を払っていたので、ほとんど寝られなくなってしまったんです。 当時、夫は自分の事業を始めたばかりでとても忙しく、出張続き。それでも、できることはやっていたので、これ以上負担をかけてはいけない、と私が抱え込んでしまったところもありました。 常に睡眠不足でワンオペ育児。つらさが積み重なって、だんだんと何も考えられなくなっていきました。 ――友人や専門家に相談したり、悩みを打ち明けることは? 高橋 友人とは、コロナ禍で会えないながらも連絡は取り合って、お互いに励まし合ったりしていたんですけど、やっぱり、忙しいとわかっていたし、心配かけたくないな、と遠慮してしまって…。近しい人にほど、弱い部分を見せられないって思いこんでいたところもありました。 自治体の健診でも「こんなこと相談していいのかな、もっと大変でも頑張っている人いるだろうしな」と思って、言い出せずにいましたね。 ――とても一生懸命で、それゆえに孤立してしまった印象があります。 高橋 何もかもに意欲がなくなって、子どもが泣いている中、音も聞こえない、声も出せない、立てない、という日もありました。 冬の夜、気がついたらベランダに突っ立っていて、今死んでもなんにも感じないな、と。それぐらい無気力になってしまったんです。 札幌市の産後ケア事業を受けようともしました。調べてみると、行なっている施設のほとんどが助産院。普通の自宅のような場所で、一つ屋根の下、助産師さんと寝食を共にするスタイルは、私の場合はかえって気を使ってしまいそうだな、とちゅうちょしてしまって。当時は育児のアドバイスを聞き入れる気力もなかったし…。自分の心身のためには利用すべきだったのかもしれないですけど、とにかく、何も考えずゆっくり休みたい、という気持ちだったんです。 そんなとき、たまたま、産後ケアホテルを利用した人のブログを見つけて…。 24時間いつでも赤ちゃんを預けることができて、マッサージも受けていて。こういう雰囲気、サービス、スタッフとの距離感だったら利用してみたい!と思ったんです。それで、北海道内にないか調べたら、なかった。 だったら、私が作る!とスイッチが入りました。