行政の業務効率化へ 生成AI技術検証進む IT企業の支援も活発化
自動で文章などを作成する生成人工知能(AI)を用いて、自治体や省庁の業務効率化を実現するための技術検証が進んでいる。デジタル庁は5月、昨年度に自治体などと行った技術検証の結果を公表。IT企業によるAI活用支援の動きも活発化する。住民からの問い合わせや議会答弁の作成など、どの行政機関にも共通する業務で生成AI利用が広まれば、一気に業務効率化が進む可能性があり、期待が高まっている。 【写真】"AIゆりこ"動画を公開 再びニュースキャスターに ■答弁作成などに有効 デジタル庁は昨年度、13府省庁、26自治体と連携して生成AIを業務に取り入れるための技術検証を実施した。各団体の職員に実際に生成AIを業務で使用してもらい、使用感を調査。5月にその結果を公表した。 検証によると、有効な使用例としては文章の作成や校正、パソコンの操作方法の検索といった一般的なものから、法令の検索や議会答弁の作成など、行政業務に特化した利用法でも有効であることがわかった。さらに検証期間中に利用頻度が高かった職員ほど、業務の効率化や品質の向上に生成AIが有効だと実感していることも判明した。 これらを踏まえ、職員に対する生成AIの利用方法の研修実施に加え、AIに学習させる政府のデータの洗い出しや、機密情報を入力すると警告が出る仕組みの実装などが必要と結論付けた。 ■IT企業が支援も 生成AIの導入についてはIT企業による支援活動も活発に行われており、既に業務に導入している自治体もある。 東京都中野区は米マイクロソフトの生成AI「コパイロット」を全職員が利用できる環境を構築。試験的にオンライン会議の議事録作成などに用いているほか、日本マイクロソフトの協力を得て職員のAIリテラシー向上に取り組み、活用の可能性を探るという。 中野区の酒井直人区長は「生成AIで効率化できる分野はたくさんある」と強調。今後は特に職員からのニーズが多い、議会答弁の作成や区民からの問い合わせ対応などについての活用を考えていくという。 ■重要視されるセキュリティー対策