RIIZE×米津玄師、TWS×ヨルシカ、IVE×あいみょん……K-POPアーティストによる“J-POPカバー”の魅力
IVE GAEULのあいみょん、NewJeans HANNIのTUBEが放つ魅力
IVEのGAEUL(ガウル)は、今年10月にあいみょんの「マリーゴールド」をカバー。この作品では彼女の特徴でもある可憐な歌声を残しつつ、あいみょんのような芯の通ったかっこいい声のエッセンスも含まれ、新たな一面でリスナーを再び虜にした。制服やラフなワンピース姿に身を包んだGAEULが、夏の鎌倉を無邪気に楽しむどこか儚げな映像は、まさに「マリーゴールド」の世界観と重なるものに仕上がっている。GAEULは昨夏、書店で日本語の本を買って勉強しようと意気込んでいる様子をVLOGで表明していた(※2)。その1年後、彼女がこうして努力の結晶である日本語曲を丸々1曲プレゼントしてくれたことは、ファンを大いに感動させただろう。 NewJeansのHANNI(ハニ)は、今年8月19日放送の『CDTV LIVE! LIVE!』(TBS系)で、TUBE「シーズン・イン・ザ・サン」をパフォーマンスした。HANNIといえば、NewJeansのファンミーティング『NewJeans Fan Meeting 'Bunnies Camp 2024 Tokyo Dome'』で松田聖子の「青い珊瑚礁」を披露した動画がネットで大拡散され、X(旧Twitter)でトレンド入りしただけでなく、一時は韓国主要音楽チャート「Melon」の検索ランキング1位を記録するほど、国を跨いで大きな話題を呼んでいた。本映像では、スタンドマイクの前で弾けるようにリズムに乗って、原曲からキーを変えて歌い上げるHANNIの姿が見られるが、TUBEの夏歌の魅力をしっかりと残しつつ、発売から約40年が経ったこの時代にHANNI流に生まれ変わったポップな「シーズン・イン・ザ・サン」を堪能することで、若い世代にも本楽曲が認知されるきっかけとなったのではないかと思う。 こうしたJ-POPカバーは、普段のグループのコンセプトや音楽性から離れてアーティスト本人の嗜好に触れ、J-POPの良さ、アーティスト自身の歌い方や声を新たな角度から堪能できる機会にもなる。なんと言っても、生まれた場所や言語が違うアイドルが日本語の歌詞を歌ってくれることでいつも以上に歌声のあたたかさが沁み渡り、感動を生むのだろう。我々が普段目にする彼らは、豪華な衣装に包まれて美しいヘアメイクを施し、大きなセットで彩られたステージに立って歌い踊っている“スター”だ。しかし、ラフなヘアセットと私服のような装いで登場したり、映像には日本らしさを感じさせるエモーショナルな場面描写を取り入れたりと、“日常感”あふれるクリエイティブと合わせて楽しむことで、いつもとは違った一面を感じつつ、あらためてアーティストの魅力に触れることができるのがカバー動画の見どころではないだろうか。何度も見返して、色々な工夫や魅力を再発見するのもJ-POPカバー動画のひとつの楽しみ方かもしれない。 ※1:https://realsound.jp/2024/01/post-1553366.html ※2:https://youtu.be/2Zrcj0x7WPk?si=jy42zwx3T_-_tB_f
風間珠妃