生成AIは仕事奪う?「使えば使うほど大丈夫だと思う」 クリエイターが語る“自信” 一方で「作品を先に出しまくる著作権合戦」には懸念
AIと人間によるアート作品の最大の違いは「所有できないこと」にあると、小田氏は説く。「作家の文脈とプロセスがセットになって、アートに価値が生まれる。ピカソの作品と同じものをAIが作っても、それは“贋作”でしかない。コンテストのような出たとこ勝負の場ならまだしも、購買行動として同一評価するかといえば別の話だ」。
■100億円かかる作品が10億円で?生成AIの可能性
どのような可能性をAIに見い出すのか。曽根氏は「100億円の作品が10億円になる」と予測する。「『スターウォーズ』を作りたくて業界に入っても、いまは企画書にすら書けない。予算の問題から『作れるわけない』と言われるからだが、AI技術を使えば、もしかしたら日本の映画市場でもギリギリ作れるかもしれない。そこに夢がある」。
生成AIの情報発信を行っているAIディレクターのKEITO氏は、「生成AIがスーパーアシスタントになる」と期待を示す。「先日発表されたGPT-4oでは、画面上の映像を読み取って内容を解説したり、リアルタイムで音声会話ができたりする。デザインやシステム開発中の映像をAIに見せれば、アシスタントとしてリアルタイムでフォローしてくれるようになるのでは」。 OpenAIによるChatGPTの新モデル「GPT-4o」では、AIと音声によるリアルタイムの対話が可能になっている。また、テキスト・音声・画像などの認識能力が大幅に向上したことも大きな特徴だ。 いずれ生成AIは、人間の仕事を奪うのか。曽根氏は「ワークする部分はワークするが、やれない部分は全然やれない」と語る。「クリエイターがいなくなると言われるが、使うほどに『大丈夫だ』と感じる。毛嫌いしがちだが、触ってみると全然できないとわかる」。その反面、メリットもある。「漫画家が映像制作できるなど、1人のクリエイターでやれる領域が増える」。
■「先に作品を出しまくる」著作権合戦に?
生成AIをめぐっては、著作権の課題もある。KEITO氏は、2つの段階で問題が考えられると解説する。まずは開発段階の機械学習だ。「思想や感情の享受を目的にしない場合は、自由に使っていいと言われている。一方で特定のIP(知的財産)キャラクターを生成するためのモデルづくりはダメ」。その次には、生成・利用段階がある。「ユーザーが使う場合は、既存の著作権法と同じ考え方で、『類似して依拠性があれば著作権侵害』という考えが一般的だ」。 曽根氏は「著作権合戦」が起こる懸念を示す。「みんな『自分の作品だ』と、先に発表しまくるビジネスが出てきそうで、法整備しないと危ない。『作りたいわけじゃない作品』に価値はあるのか。『自分の作品に似ている』と訴訟するために、大量生産する危険性がある」。 既存の作品に似ていると判断する方法はあるか。KEITO氏は「Googleの画像検索に入れると、一応の確認はできるが、100パーセント正しいわけではない。大手企業が電子透かしの『C2PA』規格を標準化しようとしている」と説明した。(『ABEMA Prime』より)