【NBA】これまで培ってきたスタイルは変えずに戦力を増したサンダー、『真の強豪』へ飛躍のシーズンとなるか
シェイ・ギルシャス・アレクサンダーの『無双』に期待
若手中心の再建に舵を切ってからわずか4シーズンで西カンファレンスのトップ争いに加わったサンダーは、ジョシュ・ギディーを放出しアレックス・カルーソを獲得するトレードを実行しました。それは若手の成長に賭けるのではなく、即戦力重視の方針に切り替えたことを意味します。いまだに若いチームではあるものの、成熟したチームとしてチャンピオンリングを目指す新シーズンとなります。 サンダーが成功した理由の一つにドライブアタックとキックアウトパスを組み合わせたスモールラインナップ戦術が挙げられ、誰もが3ポイントシュートを狙い、誰もがドライブでペイントに侵入し、誰もがリバウンドに飛び込むオールラウンダーを揃えて戦ってきました。そして昨シーズンは3ポイントシュートの成功率がリーグ1位へとジャンプアップし、そのオフェンスが完成しました。 特にルーキーだったチェット・ホルムグレンがストレッチタイプのビッグマンとして機能したことが大きく、スモールラインナップと言えども高さと身体能力に優れた構成となっており、ブロックショットでもリーグトップの6.6を記録しました。加えてシーズン後半にはホルムグレンとジェイリン・ウィリアムスでツインタワーを形成する戦い方もバリエーションに加わりました。独自の戦術を貫き通すだけでなく、相手に合わせた戦い方も取り入れてきたのです。 ディフェンス力が高く、コーナーで効果的なプレーができるカルーソはサンダーのスモールラインナップにハマりそうです。一方でフリーエージェントで獲得したアイザイア・ハーテンシュタインはサンダーにいなかったフィジカルなセンターとして新たなオプションになりそうです。派手な補強はなくとも、これまで培ってきたスタイルは変えずに戦力を増したオフとなりました。 2年前に2位と3位だったグリズリーズとキングスが昨シーズンはプレーオフを逃したように、西カンファレンスは若いチームが躍進しても、ほんの少しの齟齬から一気に順位を落としかねません。それでも堅実にチーム力を上げてきたサンダーには縁のない話に見えます。 アイソレーションで無双するエースのシェイ・ギルシャス・アレクサンダーを止めるのは困難で、そのエースを超える高確率のジェイレン・ウィリアムスが要所で活躍し、ルーゲンツ・ドートがフィジカルなディフェンスで相手エースを抑え込む。若く成熟したサンダーがリーグを席巻し、『真の強豪』へとステップアップできるのかに注目です。