『ブルー きみは大丈夫』ジョン・クラシンスキー監督 大人を虜にするための鍵はノスタルジー【Director’s Interview Vol.411】
妻エミリー・ブラントの協力関係
Q:本作を撮ることによって、あなた自身も忘れかけていた子供心を取り戻したのでは? クラシンスキー:子供たちが“想像”で作った場所には、80歳になっても戻ることができる。僕はこの物語に寄り添ううちに、そう感じるようになりました。そもそも僕らのように映画ビジネスで働いている者は、大人としての成長が求められなかったりしますし(笑)、こうした作品の現場ではスタッフたちが子供のように無邪気に仕事を進めたりします。本作に関わった人は誰もが子供心を取り戻したんじゃないでしょうか。 Q:声優にも豪華キャストが集まりました。ブラッド・ピットが透明のIFのキャラクターを担当したのは、やはり透明キャラでカメオ出演した『デッドプール2』(18)を思い起こさせます。今回の参加は、ライアン・レイノルズ(本作と『デッドプール』に出演)の紹介なのでしょうか? クラシンスキー:いや、ライアンの紹介ではありません。僕がブラッドに直接、「目に見えないイマジナリー・フレンドを演じてくれませんか」というオファーの手紙を書いたんです。そうしたら彼から「引き受けます。参加できるのは光栄です」との返事がありました。僕の方こそ、光栄に感じましたよ。『デッドプール2』での透明の役については、本作のキャスティングの後に気づきました。こういう偶然もあるんですね(笑)。ブラッドとの仕事は初めてでしたが、面白いものを世の中に送り出そうという寛大な心を持ったスターであると実感しました。 Q:声優では、あなたの妻のエミリー・ブラントもIFのユニコーン役で参加しています。『クワイエット・プレイス』もそうでしたが、お二人はおたがいの仕事に協力的な関係なのですか? クラシンスキー:僕はエミリーの大ファンなので、彼女に届いた台本を読んだり、未完成の映画のカットを先に観たりはしたくないです。余計な干渉をしないことで、彼女も役にどっぷり入り込み、思い切り演技ができると信じているからです。作品を観るうえで、最適なタイミングは必ずあるでしょう? エミリーも僕に対して、同じ心境だと思います。ただ僕らはつねにコミュニケーションをとって、おたがいの仕事を把握しています。監督はフルタイムの仕事であり、僕はその仕事を家には持ち帰りません。それでもエミリーは、僕の作品が今どんな段階にあるのかを熟知していますから、たとえば本作の場合、コニーアイランドやマンハッタンの路上で大がかりな撮影を行う際に、僕のプレッシャーを察知して、さりげなくインスピレーションを与えてくれたり、惜しみないサポートを買って出たりしてくれます。ひとつだけ断言できるのは、もしエミリーに出会わなかったら、僕の今のキャリアは存在していない、ということですね。 監督/脚本:ジョン・クラシンスキー 俳優・監督。1979年10月20日生まれ、アメリカ出身。映画『恋するベーカリー』(09年)、映画『だれもがクジラを愛してる。』(12年)などに出演。脚本・監督を務めたホラー映画「クワイエット・プレイス」シリーズでは、全米大ヒットを記録した。 取材・文:斉藤博昭 1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。 『ブルー きみは大丈夫』 6月14日(金)公開 配給:東和ピクチャーズ ©2024 Paramount Pictures. All rights reserved.
斉藤博昭
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