※以下、シーズン2の重要なネタバレに触れています

　本作でBIGBANGの元メンバーのチェ・スンヒョンが復帰することも話題になったが、彼の支援者であるナムギュ役を演じたノ・ジェウォンも存在感を見せている。『今日もあなたに太陽を ～精神科ナースのダイアリー～』『殺人者のパラドックス』など話題作に続々と出演している新たな実力派脇役俳優だが、彼は精神的に不安定な人物を演じるのが今一番うまい俳優かもしれない。 　さらにシーズン2では、物語の肝となるゲームの設定にも新たな仕組みが導入された。子どもの遊びをテーマにしたゲームをし負けたら死ぬという点は変わらないが、ゲーム後に勝ち残った参加者による「ゲームを中断する投票」が毎回行われるようになったのだ。 　一見、民主的な仕組みのように思えるが、これがややこしい自体を招く。どちらに投票したか胸に張られた〇×のワッペンでひと目でわかるようにされた参加者たちは、次第に対立していく。シーズン2は、ゲームの対決よりも、思想の対立や混乱に焦点を当てて視聴すると、より興味深く映るだろう。 　そして、ここからは、ネタバレが絶対に嫌な方は読み飛ばしてほしい。 　もうひとつ、大きな変化として挙げられるのが、イ・ビョンホン演じるゲームの管理者であるフロントマンのゲームへの参加である。 　フロントマンは、身分を偽りゲームの参加者として主人公ソン・ギフンに近寄り、ソン・ギフンが何をしようとし、どこまでの覚悟でいるのか、すぐそばで監視する。そして、さりげなくけしかけ、事あるごとにソン・ギフンの正義感を試すのだ。このフロントマンの動向が、緊張感を高める重要な装置になっている。はたしてフロントマンは、何を目的に、こんな残酷なゲームに人々を誘い込むのか？ 　キッチュな舞台美術や独特のOSTなど『イカゲーム』ならではの装いはそのままだが、シーズン1に比べると、スピード感と鋭さがなくなり、やはり完成度が落ちた感が拭えない本作。だが、さまざまなことを考え合わせると、ストーリーの方向はしっかり定められているようだ。シーズン3は、2025年に配信予定。その結末を期待して待ちたい。