小泉今日子さん、30代女性のお悩みに「“若いね”って、しばらくたったらどうでもよくなる言葉です」
できる限り“頼りない先輩”でいる。話を普通に聞いてあげる
――30代は後輩ができる年代です。“いい先輩”でいようとすると、息苦しく感じてしまったり、自分がつまらない人間に感じてしまったりすることがあります。 小泉さん:私もその年代の頃は、後輩が集まってきて悩みを打ち明けてくれる頃でした。いい先輩でいようとすると自分も相手も疲れてしまうから、できる限り頼りない先輩でいようと心がけていました。「あ、こんなんでいいんだ」って思えて、ラクになってもらえるかな、って。 だからアドバイスもほとんどしたことがないんじゃないかな。「そうなんだ」「でも、それはさぁ」って、話を普通に聞いてあげるだけでもいいんだと思います。聞いてもらえたほうもそれですっきりする。「何かをしてあげよう」というスタンスはうまくいかないことも多いですよ。おせっかいはやめましょう。 会社などの組織に属していると、そうはいっても難しいこともありますよね。でも、昔よくいた熱血だけど怒る先輩みたいな存在にはならなくていいと思う。うちは小さな会社ですけど、何人か社員がいるんですね。その人たちの得意なこと、苦手なことがなんなのかよく見るようにしています。 そうやって観察していると、この子は、苦手なことを指摘されるとドキドキしちゃうから反発してくるんだな、とか、わかってくるようになるんですよ。謝れない子に対しては、「1回謝らないと先に進まない。私だってモヤモヤするから、1回謝ってみようか」って声掛けをします。 大人数を見なきゃいけない場合は大変だと思うけど、とにかく観察するしかないよね。あと、先輩側のこちらも、自分が失敗したり、手間をかけたりしてしまったら、きちんと謝るのが大切。「ごめんなさい」と「ありがとう」は人間の基本ですから。 小泉今日子 神奈川県生まれ。1982年「私の16歳」で芸能界デビュー。以降、歌手、俳優としてテレビや映画、舞台で幅広く活躍。2015年より代表を務める「株式会社明後日」では、プロデューサーとして舞台や音楽イベントなどの制作も手掛ける。文筆家としても定評があり、『黄色いマンション 黒い猫』では、講談社エッセイ賞を受賞。Spotifyオリジナルポッドキャスト『ホントのコイズミさん』にてパーソナリティを務める。新刊『ホントのコイズミさん NARRATIVE』発売中。https://303books.jp/hontonokoizumisan-narrative/ 撮影/松岡一哲 ヘア&メイク/石田あゆみ スタイリスト/藤谷のりこ 取材・文/高田真莉絵