休日は仕事連絡無視OKがオーストラリアで法案可決! 「つながらない権利」は労働者を幸せにするか?
「もちろん世の中には嫌々仕事をしている人がいるのもわかるよ。でも言い方は悪いけど、そういう人になんで僕たちまで合わせなきゃいけないの? つながらない権利もいいけど、仕事を楽しむ権利もあると思うし、それを国が侵害しないでほしいよ」 最後にご紹介するのは国家の先行きを憂う、元会社経営者で現在年金生活者のトーマスさん(80代男性)の声。 「この法律は最悪だね。みんながサボってばかりの法律を作ったら、バリバリ働きたい人は勢いがある中国や韓国といったアジアの国々に取られてしまうよ。それでオーストラリアの産業が衰退していくのが目に見える。企業だってそうさ。働かない労働者ばかりのオーストラリアから撤退していく会社がどんどん出てくるよ」 つながらない権利を待ち望んでいた人は多いかもしれない。しかしこれはグローバル経済との折り合いが悪い。この権利は主に欧州で部分的に導入が進んでいるものの、そのペースは遅く、労働者を本当の意味で幸福にするにはまだ時間がかかりそうだ。 と、こんな具合で現在オーストラリアでは侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が......かというと実はそうでもない。オーストラリア人に「つながらない権利についてどう思う?」と尋ねても、「ん? 何それ?」という反応のほうがむしろ多かった。 そんな人ごとムードをよそに、6ヵ月後に同法の施行を迎えるオーストラリア。どんな結果を生むのか、引き続き注目だ。 取材・文・写真提供/君田亜礼(海外書き人クラブ) 取材協力/柳沢大河(海外書き人クラブ) 写真/iStock