「アルゼンチンは今」(18)痛みを伴わない政治経済改革はない「大騒ぎのツケは国民が払う」バラマキ政策中断で生活にしわ寄せ=ブエノスアイレス 相川知子
「ミルタと夕食を」の会話=前政府の行ってきたことから現政府へ
これまで見てきた国民に必須のサービス以外に前政府以前から社会福祉に向けた配当金が正常に使われていない状態が指摘されています。 たとえば小学校へ通うための制服である白衣を縫製し、支給する社会団体への資金援助や、子ども食堂への食材購入支援など仕入れ価格が市場価格を上回る金額で支出されているのにもかかわらず、実際は白衣が子どもたちのところに届いていなかったり、食料の品質に問題があったりという事実が少しずつ明るみにされています。 「ミルタと夕食を」に同席した長年大統領府記者を務めるリリアナ・フランコ氏は、ミレイを政治のアウトサイダーと評し、さらに同ジャーナリストのルイス・ガスジャ氏も現在の物価高に比べ、賃金上昇が追いつかないことを鋭く指摘しました。 中心となる司会のミルタ氏は涙を浮かべながら人々が幸せにすごすことができるように対応を改善してほしいと、こんな状況では人々が食べることすらできないと訴えました。 政府スポークスマンのアドルニ氏は一貫してアルゼンチンの今までの官僚主義を調整し、悪いニュースではあっても事実を明確に伝えることが重要であることを強調しました。 そしてこれまでの政治によるばら撒き政策など手厚い補助金に見えていたことのツケは、実際は「フィエスタは国民が払う」と説明し、この税金を有効に活用し、現在の国民の45%が貧困であり、ホームレスや毎日食事ができない子供たちの数を減らしたいという政府の意向と並び、インフレを抑え、投資を呼び込み、教育の質も向上させたいという方針に言及しました。
痛みのない政治経済改革はない=まずはツケを払ってから
各種市民サービスの様々な面を概観しましたが、痛みのない政治経済改革はなく、現政府はこの苦しみを乗り越えてアルゼンチンを正常な状態に近づけたい意向です。要は今までのツケが今回ってきていることなので、アドルニ氏は政治のミッションは中小企業経営から学ぶべきところがあると付け加えました。 なお、5月6日は交通機関ストが実施され、5月9日はゼネストが決行予定で、ストやデモのカレンダーはこれからまだまだ予定が書き加えられる見込みです。 (5月8日 記 相川知子)