月給「20万円」の会社員です。先月「60時間」残業したのに割増の残業代が1万円のみでした。この金額は不適切でしょうか?
残業代を正しく計算するには、残業時間の数え方や時間外労働・深夜労働などの割増率を適切に理解する必要があります。 もし、残業代の計算方法を理解していなければ、残業したにもかかわらず適正な残業代が支払われなかった場合にも気付けない可能性があるでしょう。 そこでこの記事では、残業の定義を解説したうえで、月給20万円、残業60時間で残業代1万円だった場合を想定し、割増率や残業代の計算方法をご紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
そもそも残業とは?
残業とは、法定労働時間を超えて行われた労働のことを指します。法定労働時間に関しては、労働基準法第三十二条で「労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」「労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」と定義されています。 なお、会社で「所定労働時間」が定められている場合がありますが、これは企業が定めるもので、法定労働時間とは異なります。 仮に、所定労働時間が9時~17時の会社で、従業員が20時まで働いた場合、18時までは「法定内残業」となり、企業は残業代を支払う必要がありません。ただし、18時~20時までは法定労働時間を超えているため、企業は残業代として割増賃金を支払う必要があります。 また、1日8時間以内をクリアしていたとしても、休日出勤などで週40時間を超えていた場合、法律上の残業となり、割増賃金の対象となります。
残業による割増率を確認
残業が発生すると割増賃金が支払われることになりますが、残業の種類によって割増率が異なります。残業の種類とその割増率は表1の通りです。 表1
(※1)25%を超える率とするよう努めることが必要です。 (※2)中小企業については、令和5年3月31日までの間は適用が猶予されています。 仮に、時給換算した給与が3000円の従業員が3時間残業した場合、3000円×3時間×1.25で1万1250円が残業代として支払われます。残業による割増率は一定ではなく、時間帯や休日か否かによって変わることを覚えておきましょう。