自動車レースはゴルフのように男女別にすべきか。“変革期”の今だからこそ聞く、女性モータースポーツ界の目的地
■女性レーサーの活躍で、新たな企業タイアップの形も見えてくる?
また、それに続けてバートンは興味深いコメントを残した。女性モータースポーツ界が盛り上がれば、女性向けのファッションや美容に関わる企業の参画も期待できるため、それも業界全体にとっては重要なことだろうと指摘したのだ。 「モータースポーツは、スポンサーが極めて重要な競技と言えます。ですから、女性向けのメイクアップブランドや洋服のブランドなど、より多くのブランドが注目するようになるという点も、モータースポーツ業界にとって本当に重要なことだと思います」 そう語ったバートン。これには美容学校出身で、車やレースに興味を持つ前から美容やファッションに関心があったという織戸も同意し、「女性ならではのネイルやメイクアップなどは、これまで(モータースポーツと)結び付いていなかった部分だと思いますが、女性ドライバーが活躍することで、そこに目を向けられるようになるのは素晴らしいことだと思います」とコメントした。 さらにそれに紐付けて翁長からは、より具体的な提言が飛び出した。曰く、モータースポーツを通して女性を助けるような商品の開発を進めることができれば、まさにwin-winな関係を築けるだろうと言うのだ。 「例えば(レースを通して)『汗をかいても絶対に取れないアイプチ(まぶたを二重にする化粧品)を作りましょう』とか、『ホルモンバランスを整えてくれるお薬を開発しましょう』とか、女性ドライバーのレベルを上げていくものと紐付けたメイクアップや体づくりなどの情報を、企業も選手も得られるといいですよね」と翁長は言う。 「今は選手個人が情報収集しないといけませんが、この(女性ドライバーの)活動が広がって企業と繋がることで、企業と一緒になってパフォーマンスを上げていけるのがベストだと思います」 女性ドライバーにとって、「女性であること」を利用されるというのは、当事者含めて様々な感じ方があるかもしれない。翁長も「そこの考えはかなり人ぞれぞれだと思う」としたが、その一方で「私は業界を盛り上げることでモータースポーツへ恩返しができるなら、新しい風もどんどん受け入れたい」と語る。 このように女性ならではの形で、これまで接点がなかったような企業を巻き込むという流れが生まれると、女性ドライバーにとって、そしてモータースポーツ業界にとって新たな扉を開くきっかけになるかもしれない。
戎井健一郎