「生半可じゃない覚悟でやってきた」34歳田中佑典、体操年長2位五輪へ16日からNHK杯
体操のパリ五輪代表最終選考会を兼ねた個人総合で争うNHK杯は16日から4日間、高崎アリーナで行われる。15日は前日練習が試合会場で行われ、4枠を争う男子で、2016年リオ五輪団体金メダルで34歳のベテラン、田中佑典(田中ク)は、2大会ぶりの大舞台へ「生半可じゃない覚悟でやってきた」と燃える決意を示した。32歳で2021年東京大会に出た“キング”内村航平さんらを上回る歴代年長2位記録の34歳でパリ代表入りを狙う。 初出場の夢舞台12年ロンドン五輪から12年。34歳になった田中に3度目の五輪が近づいている。NHK杯の2日間、計12演技で五輪代表は確定。上位6人による予選1班の中で、田中は唯一、五輪での団体金を知る男だ。「気持ち的にはおだやか」と落ち着きながらも、「生半可じゃない覚悟でやってきた」。燃えたぎる決意を明かした。 全日本との合計点で争われる今大会。男子はすでに内定している21年東京五輪2冠の橋本大輝(22)=セントラルスポーツ=を除く上位2人と、チーム貢献度2人から選出される。田中は現在6位。平行棒、鉄棒では全日本で高得点の15点台を出しており、残り2日間でそろえることができれば、「貢献度」で入る可能性も十分だ。 五輪切符が見える位置について「立てているだけでありがたい。(すでに気持ちは)優勝かな」とユーモアたっぷりに笑った。橋本が「本当に美しい体操を象徴している」と憧れるこん身の演技で、わずか4人の狭き門をくぐりぬける。 体操選手は20代前半から中盤にかけてがピークと言われる中、34歳でなお、日本のトップで戦い続ける姿は驚異的だ。個人総合五輪連覇の内村さんも30代を超えて「日が進むごとに体力が落ちてる」と苦悩を明かしたこともある。日本協会の水鳥寿思・強化本部長は「ほんとに考えられない」と驚きを隠せない。そして、田中自身も「我ながら変人。おかしな域に来たなと」と表現したことがある。 過去に一度、「東京(五輪)が終わっての自分が現役を続けているっていうのは見えない」と“引退”を口にし「同世代で一番最初に辞めると思っていた」というが、今もなおトップ争いの最前線にいる。「30半ばの選手が頑張ってるのを楽しんでもらえたら」と田中。年齢は関係ないと証明する。(小林 玲花) ◆田中 佑典(たなか・ゆうすけ)1989年11月29日、和歌山県生まれ。34歳。和歌山北―順大卒。7歳で競技を始める。兄・和仁、姉・理恵と2012年ロンドン五輪に出場し男子団体銀メダル、16年リオ五輪で団体金メダルを獲得。世界選手権では14年大会で個人総合銅メダル、15年大会で団体金メダル。得意種目は鉄棒、平行棒。166センチ。
報知新聞社