【おむすび】陰と陽演じる“渡辺”緒形直人の素顔 制作統括「心が大木のような方」
人を拒絶していた渡辺がギャルにナベベと呼ばれ笑顔も
俳優・橋本環奈が、主人公・米田結を演じるNHK連続テレビ小説『おむすび』(月~土曜午前8時)。第63回が12月25日に放送され、これまで商店街の人たちと距離を置き、心を閉ざしてきた渡辺孝雄(緒形直人)の雰囲気が一変する様子が描かれた。ギャルから「ナベベ」と呼ばれ、派手なアロハシャツを着て笑顔を見せる姿も。制作統括の宇佐川隆史氏が取材に応じ、別人のように明るくなった渡辺の変化の背景を語ってくれた。 【写真】「30代とは思えんくらい似合ってる」…仲里依紗が平成ギャルになりきった制服姿 妻を亡くし、その後の震災で娘も亡くした渡辺。これまでの陰から陽に変化する上でバランスが難しかったと想像するが。 「いつの間にこんなに明るく? と思われるかもしれませんが、実はこれまで私たちが見ていないナベさんの姿が1つだけあるんです。それは妻も娘もまだ生きていた頃のナベさん。その頃のナベさんは、かたくなに心を閉ざしてはいませんでした。昔のナベさんを知っている歩も、明るくなったナベさんに驚きというより、お帰りという思いがあったのではと思います。私たちが1つだけ見ていなかった本来のナベさんが表れていると思います」 心を閉ざしていた渡辺も結局、ギャルに心を救われた。ギャルがここまで深く物語に関わることは当初の予定通りなのか。 「やるならファッションなど表に出るものだけでなく、根底にあるものを時代性も含めて書こうと、本腰を入れてみんなで取材しました。その取材で感じた“ギャルの皆さんへのリスペクト”を、少しでも感じてほしいと思いました。それはすごく普遍的なことで、自分を大事にしようとか、自分を大事にすれば相手のことも大事な存在だと分かるとか。ギャルの方と向き合った時に思ったことを、しっかり描こうと決めていました。ギャル魂はことあるごとに、結の人生を助けていくだろうと。この生き方は、一生ものだろうと思っています」 心を閉ざし、商店街に人たちと距離を置く渡辺を演じる緒形直人は以前、役作りのため共演者との食事も避け、現場でも1人でいるようにしていたと明かしていた。今回の展開で変化はあったのだろうか。 「聞いていないので分かりませんが、きっともう、お誘いを受けたら行かれるのでは(笑)。緒形さんは、すべてを受け入れられる、心が大木のような方です。一緒にお話していると、すごく落ち着きます。この前も『孝雄が明るくなって本当に良かったよね』と一緒にお話しました」 最後にあらためて渡辺の変化について語ってくれた。 「明るくなったあの孝雄さんも、かつてでもあり、今でもあり、紛れもない孝雄の一部だと思い私たちは描いています。心の底から『おかえりなさい』という気持ちです。実は、ギャルの厚底ブーツを作ることで震災後、神戸の靴産業が復活したというお話があって。靴職人のナベベのエピソードには、そういった実話の要素が含まれているんです」
ENCOUNT編集部