ミドリムシが食品やジェット機の燃料に? バイオベンチャーが見据える未来
燃料は2020年までの実用化を目指す
ミドリムシを食品にする場合、収穫したものを乾燥・粉末化して製品に加工するが、ミドリムシの可能性は、食品分野にとどまらない。ミドリムシの燃料への応用にも力を入れる。燃料にする場合は、収穫後に油を抽出、精製する。ジェット燃料には軽油のような軽質な燃料が求められるが、すでに、ミドリムシの中でも軽質な油の製造に適した種類を見つけ出している。 今年12月1日には、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化計画を発表した。横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、全日本空輸も名を連ねるこの計画では、2018年前半に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントの稼働を開始することや、2020年までの実用化を目指すことが盛り込まれている。ユーグレナは、ミドリムシの生産をはじめ、プラント建設地の確保、設備投資、運営およびバイオ燃料の製造を担う。
世界中の人たちが欲しがるミドリムシに
栄養失調に悩まされている人々がミドリムシを食べれば栄養バランスが改善するかもしれない。ミドリムシのジェット燃料が実用化され、採用が広がれば、化石燃料の使用量を減らすことにつながるかもしれない。 2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。出雲社長は「世界各国から数多くの観客が、ミドリムシから製造した燃料を使ったジェット機でやってくるでしょう。ミドリムシで飛行機が飛ぶ、バスが走る。さまざまな健康食品が売られている。世界中の人が見に来て、我が国にも欲しいなと思うはずです」と未来を見据えた。 (取材・文:具志堅浩二)