ベイスターズ小園健太が振り返る市立和歌山高時代 コロナ禍、甲子園のマウンド、智辯和歌山との激闘...
さて、和歌山県の高校野球と言えば、強豪・智辯和歌山の存在を抜きには語れない。小園が市立和歌山に入学してから智辯和歌山には一度も勝ったことがなかった。だが、秋の新人戦で勝利を収めることができた。 「和歌山で甲子園に行くには智辯を倒さなければいけないのは当然のことでしたし、僕が入学したぐらいから智辯は打ち勝つ野球から守りを重視した野球へ変化していって、いいピッチャーが揃っていたので、僕が絶対に投げ負けないようにしないといけないという気持ちが強かったですね」 その後、県大会の準決勝で対戦すると市立和歌山は智辯和歌山に5対4の逆転で競り勝ち、さらに3週間後の近畿大会の準々決勝で対戦し、4安打完封で勝利を収めている。 「新人戦の時は相手のエースが投げてなかったので、マグレだなって思って......だからこそおごることなく県大会に臨め、勝つことができたと思います。その後、近畿大会でまた対戦することがわかった時は正直絶望したんですけど、智辯のほうがあとがないといった感じで早打ちをしてくれたので、自分の持ち味を出すことができたんです」 市立和歌山は智辯を破りベスト4に進出したことで、翌春のセンバツの切符をつかんだ。 「もうほんまに何ていうか、甲子園はずっと行きたい場所だったので、めちゃくちゃうれしかったですね。ただ新チームがスタートした時の目標は甲子園出場ではなく日本一だったので、出場が決まった瞬間は、さらに身が引き締まる思いでしたね」 【膝が震えるほど緊張した】 憧れた甲子園の舞台。しかしまだコロナ禍の余波があり、甲子園での前日練習はできず、ぶっつけ本番でマウンドに上がった。 「バックネット裏のスタンドがすごく広くて、正直、膝が震えるほど緊張していました」 1回戦の相手は県立岐阜商。緊張していた小園は先頭打者にフォアボールを与えてしまったが、バッテリーを組む松川のリードを信じ、心を落ちつかせ腕を振ると4安打完封。チームはサヨナラ勝ちを収め、劇的なスタートをきった。